
何が何でもクスリを飲まない女性。躊躇なくクスリを飲む女性。どちらが正しいとか、どちらが間違っているというのではなく、クスリという存在に対して、両極端の捉え方をする人がいるというのが面白いかった。クスリに関して言えばオーバードーズする女性もいる。彼女たちはまた違った存在だ。(鈴木傾城)

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。経済分野を取りあげたブログ「フルインベスト」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。連絡先 : bllackz@gmail.com
クスリを飲むタイプと飲まないタイプ
以前、ビジネスアナリストでYouTubeをやっている深田萌絵さんと話をしていると、彼女は大のクスリ嫌いで「生理痛の痛みでも絶対にクスリは飲まない。製薬会社の金儲けに使われたくない!」という主旨のようなことを叫んでいた。
彼女とは別の理由で「クスリは基本的に身体には良くないので飲まない」という女性も何人か知っている。
一方で、『病み、闇。』『圧倒的「病み垢」女子』を書くために、ここ2年間で私が知り合った病み垢界隈の女性たちは、みんな躊躇なくクスリを飲むタイプだった。クスリにまったく抵抗がない。
何が何でもクスリを飲まない女性。
躊躇なくクスリを飲む女性。
価値観や生き方の違いなのだと思うが、あまりにも対照的で興味深いと思った。そう言えば、パンデミックのときも、絶対に何があってもワクチンを打たないという女性と、躊躇なくワクチンを打つ女性に分かれていたのも覚えている。
どちらが正しいとか、どちらが間違っているというのではなく、クスリという存在に対して、両極端の捉え方をする人がいるというのが面白いかった。
クスリ嫌いの人は、医療や製薬会社に対する不信感や、クスリの副作用への警戒心を強く持つ傾向がある。たしかに一般向け医薬品でも年間数千件の副作用が報告されている。何でもかんでもクスリを飲めばいいというものではない。
ただ、クスリが絶対に嫌だという女性は、副作用への警戒心だけがあるわけではなく、もうひとつの要因もあることに気づいていた。
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リスク回避型とリターン重視型
彼女たちにあるのは、「自分の自然治癒力を信じたい」というものだ。クスリで治すのではなく、できれば自然に治したい。そして、自分の身体にはそういう能力があるはずだと考えている。
そう考えると、クスリを使わないで自然治癒力を使おうとする女性は、実は自分の身体を信じている人であるのがわかる。医療よりも、クスリよりも、自分自身を信じて進んでいく。
では、ちょっとした風邪でも、ちょっとした不調でも、すぐにクスリを飲む「クスリ大好き」女性は自分を信じていないのだろうか? たぶん彼女たちは、治るのか治らないのかわからない、まだるっこい自然治癒力よりも、クスリで「さっさと治そう」というほうに意識が向いているのだろう。
身体の不調による時間損失を嫌い、「早く治ること」を最優先にする。自然治癒力よりも確実だし、何なら自然治癒力を加速させるのがクスリであり、そういうのが存在するのであれば「使わないと損だ」という無意識があるはずなのだ。
これを、じっと考えていたのだが、そうしているうちに私の心の中に浮かんだのが「リスク回避型」と「リターン重視型」という言葉だった。
クスリを使わない女性たちは「リスク回避型」だった。副作用、医療不信をリスクと考え、それを避けることに重点を置いていたのだ。クスリはなるべく取らず、取るにしてもギリギリに取り、すぐにやめることでリスクを回避する。
一方、クスリを使いまくる女性たちは「リターン重視型」だった。病気や不調を重篤化させず、さっさと飲んでさっさと治す確率をクスリで高める。クスリの即効性を評価し、なるべくリターンを多く得ることを重視していた。
そう考えると、その女性の行動パターンが垣間見えるような気もする。
圧倒的「病み垢」女子
圧倒的な「闇」を体現するのが「やむやむさん」だった。オーバードーズを「人生そのもの」と語り、幻覚に心地よさを感じ、度重なる救急搬送にも「怖くない」と笑う。
彼女を何て呼べばいいのだろうか?
ただ、「リスク回避型」にも「リターン重視型」にも当てはまらない女性がいる。それが、『病み、闇。』『圧倒的「病み垢」女子』で取り上げた女性たちだ。
彼女たちはクスリが好きなので、たしかにリターン重視型の中に入っているのだが、彼女たちはオーバードーズしてクスリを酩酊するという別の用途で使い出しているので、もはやリターン重視型ではない。
彼女たちを何て呼べばいいのだろうか?
いろいろ考えているうちに、しっくりきたのは「レバレッジ型」という言葉だった。
彼女たちは心理的ストレスが高く、自分の感情を一定に保つためのコントロール機能が弱まっている。そのため、とにかくクスリを大量に飲む(レバレッジする)ことによって今のストレスから逃れようとする。
大量にクスリを飲むと、意識が混濁したり、酩酊したり、昏睡したりする。そのいずれも、今のストレスを忘れさせてくれる症状だ。苦痛から逃れられるのだ。そのクスリは処方薬でも市販薬でも同じだ。
しかし、オーバードーズすると副作用のリスクは絶対に出てくる。それをわかっていて飲む。彼女たちはリスクを恐れていないうえ、治療的リターンも求めていない。クスリが引き起こす感覚を目的として消費してしまう。
だからこそ、彼女たちは「レバレッジ型」でもある。
クスリにレバレッジを賭けることによって、別次元の何かを得ることができるのだが、それが長く続くと間違いなく心身を壊す。だから、レバレッジ型は自滅型でもある。そこに至ったとき、私はすべてが腑に落ちたような気分になった。
クスリの副作用を回避したい=リスク回避型
クスリの効用を早く得たい=リターン重視型
大量にクスリを飲みたい=レバレッジ型
資産管理の観点でも、こうした分類がある。クスリを巡る行動についても、人によってそうした傾向があった。
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日本女性が貧困から風俗の世界に入る姿を見聞きするうちに、彼女たちは実際にはどんな女性たちなのだろうかと興味を持つようになっていた。
何か奇妙に似通ったものを感じる
資産管理で言えば、とにかく投資という危険なものを避けて元本割れがない貯金を重視するのが「リスク回避型」で、元本割れという副作用があったとしても、資金を増やす確率を得たいというのが「リターン重視型」で、一気に別次元の効果が欲しいといのが「レバレッジ型」だ。
「リスク回避型」が良いのか、「リターン重視型」が良いのか、というのは議論がわかれると思うのだが、「レバレッジ型」はあまりにも無謀なので避けたほうがいいというのは、だいたいの意見は一致するだろう。
レバレッジ型で成功できる人もたしかにいる。クスリで言えば、オーバードーズしても心身を壊さずに、酩酊する状態だけを手に入れることができた幸運な人がごくわずかにいる。
だが、レバレッジを多用していると、かならずどこかで自滅していく。そう考えると、レバレッジは避けたほうがいいというのが結論となる。しかし、さまざまな理由で精神的にどうしても強度のストレスを解消できない人がいたりするのも事実なのだ。
クスリの世界でいうと、たとえば機能不全家庭に生まれ、家族からの虐待や無視といった行為があって心身に深く傷を負って、もはや逃れられない強度ストレスを持つ女性が大勢いる。オーバードーズする女性は、そうした暗い家庭に生きている女性ばかりだった。
資産管理の世界ではどうなのか。レバレッジを多用するのは、現状の自分の資産の規模に満足できず、それに対して強烈なストレスを感じている人なのだろうと思う。たとえば、1億円が欲しいと強烈かつ持続的に思っているのに、手元に100万円しかないと、もはやそれは受け入れがたい強度のストレスとなって心を傷つける。
何としてでも、一刻も早く、とにかくどんな手段であってもカネをすぐに増やしたい。だからレバレッジを賭ける。100万円でも、10倍を2回繰り返せば1億円になる。たった2回、10倍にすればいい。だから、それを可能にするためにレバレッジを使う。
そう考えれば、レバレッジに狂う投資家と、オーバードーズする少女は、根本が同じものに見えてくる。まったくジャンルが違うのに、何か奇妙に似通ったものを感じるようになった。少し奇妙だが、面白い感覚だった。







コメント
私は従順に薬を飲むタイプです。
オーバードーズは絶対にしないので余りは溜めずに捨てます。
ブログ仲間が死にたくなってオーバードーズしたようです。
「意識が戻った」と妹さんが書き込んでいます。