
大学卒業後も定職に就かず、アルバイトや短期雇用を転々とし、やがて働かなくなり、自宅に引きこもり、生活費をすべて親に頼るようになる子供も少なくない。親は「我が子が困っているのだから、しかたがない」とあきらめ、それを受け入れる。この構図が長期化すると、親のカネに対する依存が固定化していく。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com
頼まれれば情に流されて支援してしまう
私にカネを借りにくる人もいるが、私の場合は東南アジアの歓楽街に長かったので、「秒の速さで断る」ように本能に刻み込まれた。彼女たちの「カネを貸してくれ」に付き合っていたら、一年で私は破綻していただろう。
社会の最底辺やアンダーグラウンドにいると、家族や知人に金銭的な援助を繰り返し求める人をよく見かける。借金や生活苦が理由になることが多いが、それが一度や二度で終わらず、常態化していくところに深刻さがある。
なぜこのような依存が成立してしまうのか。だいたいの場合、大きな要因は、本人の金銭感覚の欠如と計画性の欠落である。手元に現金があればすぐに使い果たし、次の収入までのやり繰りを考えない。
収入と支出を管理する習慣がなく、あればあるだけ使ってしまう。後々のことを考えないし、明日のことは明日考えればいいと言わんばかりに有り金を使う。宵越しの金は持たないと粋がるのはいいのだが、その無計画さで「カネを貸せ」という話になるので、まわりは苦労するだろう。
アンダーグラウンドの場合は、そこでカネを貸した男が女に貢ぐ形になっていくのだが、表社会の場合は無計画な人間が依存するのは、だいたいが「親」である。家族は、文句を言いながらも、頼まれれば情に流されて支援してしまう。子供に甘すぎる過保護な親も多い。
こうした状況では、カネを借りる側に危機感は生まれにくい。自分で努力して収入を増やしたり、生活を切りつめたりする必要性を感じない。「カネを貸してくれ」と言えば貸してくれる親がいるのだから自分を改善する理由がない。
結果として、寄生は本人にとって「当たり前の日常」になり、親は「援助を断れない苦しみ」に陥る。この関係性が続く限り、依存は解消されない。
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やがて口論や断絶や殺人事件に発展する
子供が親に金銭的援助を求め、親が断れないまま援助を続けるという状況は、多くの家庭で見られる典型的な依存の形である。
大学卒業後も定職に就かず、アルバイトや短期雇用を転々とする子供が、やがて働かなくなり、自宅に引きこもり、生活費をすべて親に頼るようになる子供も少なくない。
親は「我が子が困っているのだから、しかたがない」「自分が養わないと子供が路頭に迷って飢え死にする」とあきらめ、それを受け入れる。この構図が長期化すると、親のカネに対する依存が固定化していく。
依存する子供の側は、一時的に金銭的な安心を得るかもしれない。だが、その結果として、ますます依存体質が強化されていき、やがては親に寄生することでしか生きられなくなっていく。
内閣府の「子供・若者白書2023」によれば、20代後半から30代前半の未婚者のうち、親と同居して生活費の援助を受けている割合は約38%に達している。自立が先延ばしにされる現実が、統計にも表れている。そこから引きこもりになる子供も多い。
それが「80代の親にいつまでもタカリ続ける50代の子供」の問題、すなわち8050問題へとなっていく。
経済的にべったりと依存してくる子供を持つと、援助する親の側にも深刻な影響が及ぶ。子供を助けたいという気持ちと、自分の老後資金を守らなければならないという現実のあいだで葛藤が生じる。
親もいつまでも経済的に余裕があるわけではない。特に、年金生活に入った親にとって、毎月数万円の支出は大きな負担となる。
生命保険文化センターの調査では、老後の生活費について「不安がある」と答えた人は全体の73%にのぼる。その不安を抱えながらも、子供への援助を続けざるを得ない状況は、精神的な疲弊を加速させる。
こうした子供を援助したとしても、深く感謝してくれるわけでもない。
援助が続けば、子供は「親が支えてくれるのは当然だ」と考えるようになり、逆に感謝の気持ちが薄れて「カネをもらって当たり前」になっていく。カネを出してもらえなくなれば、逆ギレする精神状態にも陥る。
親は「子供が努力しないのに、なぜ私たちが犠牲にならなければならないのか」という不満を募らせる。表面的には穏やかに見える家庭でも、内側では不信感や怒りが積み重なっていく。やがて口論や断絶や殺人事件に発展するケースも少なくない。
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ある意味、社会全体の構造的欠陥を映し出す鏡
子供が親に依存し続ける背景には、単なる家庭内の甘えや怠惰だけではなく、社会的な構造の問題があると指摘する経済学者も多い。日本社会はここ数十年で雇用環境が大きく変化した。バブル崩壊以降、非正規雇用が増加し、安定した収入を得られる機会が減った。
総務省「労働力調査」によれば、2023年時点で非正規雇用者は約2,100万人に達し、全雇用者の37%を占めている。若年層では正社員としての採用が難しく、アルバイトや契約社員に留まる人が少なくない。
こうした不安定な立場では十分な生活費を賄えない。結果として、親への依存が続くのは避けられなくなる。
賃金の低さも依存を助長する。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、2023年の平均給与は458万円であるが、20代後半では約350万円にとどまっている。一方で都市部の生活費は高く、特に家賃や食費が重くのしかかる。
厚生労働省のデータによれば、単身世帯の最低生活費は東京23区で月額約15万円が必要とされる。非正規雇用の平均賃金は時給1,100円前後であり、フルタイム勤務でも月収は18万円程度にしかならない。この収入で家賃、光熱費、食費を支払えば、貯蓄どころか生活維持すら困難になる。
そうした社会情勢もある。
この厳しい社会情勢の中で、心が折れてしまう若者が増え、中にはもはや精神的にも立ちゆかなくなって「引きこもり」と化してしまう若者も出てくる。こうした若者はすでに100万人単位で存在する。
こうした社会を作り出したのは無能な政治家たちなのだが、この部分もまったく自浄が働かず、無能が無能なまま国会議員として居座っているので、いつまでたっても日本の社会は良くならず、どんどん衰退する一方となっている。
子供の経済的依存が常態化する家庭の姿は、ある意味、社会全体の構造的欠陥を映し出す鏡であるとも言える。
子供自身の性格にも大きな問題が発生する
ただ、社会がどんなに厳しく、理不尽な状況であったとしても、その中で必死に努力し、自立を果たす人がいる。彼らは困難を嘆くだけでなく、環境の悪さを受けとめたうえで、与えられた機会や支援を最大限に活用し、自らの人生を切り拓いていく。
条件が悪くても、しっかりと自立して生きている人は、もうそれだけで立派なことなのだ。状況の悪さに打ちひしがれるばかりではなく、苦しい中でもできることを探し、たくましく、したたかに生きていく人物像を社会は求めている。
そこに至らず、自立せず、親のカネに依存し続けると、どうなってしまうのか。子供が経済的独立や価値観を持てず、常に親のカネにしがみつく生活が続くと、子供自身の性格にも大きな問題が発生するはずだ。
依存したままだと、何をしていても自己肯定感なんか得られない。そのため、次第に「自分には価値がない」「何もできない」と否定的な認知を持つようになる。自分の欲求や感情が抑圧され、それが常態化する。
それを自分で何とかしなければならないのだが、親のカネが保護になるので、自分で問題を解決する力が育たず、常に他者に依存し続けるだけに陥る。まさに「寄生」である。絶望感や無力感が深まることで、精神的疾患にも発展しやすい。
そうなると、自分の進路や仕事を選択できなくなり、ますます社会に出ていくことができなくなってしまう。社会に出ても、必要な生活能力や金銭管理能力が育たないため、経済困窮に陥る危険性が高まる。
こうした状態は、抑うつや不安障害、PTSDなどの精神疾患を誘発する要因となる。
人生への希望を失い、自己否定感や消耗感が蓄積することで、最悪の場合には自殺念慮や自傷行動に至ることがある。結果として、親子ともに苦しみ続ける悲劇が現れることになる。
自立は、自分を取り戻し、自分の人生を取り戻すためにも必要だったのだ。




コメント
なんか政府に「生活支援しろ。」と詰めよる下級国民みたいな話でした。
いくら支援してやっても
彼らは政府が下々の面倒をみるのは当たり前だと思い
なんの感謝もせず「なぜもっと支援してくれないのだ?」
と逆ギレのような状態になり
ひたすら堕落していってしまうという。
政府の者たちは「なぜ努力も何もしない下級国民どものために
犠牲にならなければいけないのだ?」
と不信感や怒りが積み重なり
革命へといずれなってなってしまう。