以前からリベンジポルノや性的なプライベート画像の流出は社会問題となってきた。それが近年のAI技術の急速な進歩によって、その被害はさらに拡大している。
とくにAIによるディープフェイクが深刻だ。(ブラックアジア:もはや、とめられない。山のように登場して進化していくAIポルノの現状)
一般人にも容易に利用できるようになったことで、誰もが偽造画像の被害者となるリスクが日常化した。
そんな中、2025年5月19日、アメリカ合衆国で「Take It Down Act(テイク・イット・ダウン法)」が成立している。この法律は、本人の同意なく性的な画像や動画をインターネット上に公開する行為を、連邦レベルで厳しく禁止したものである。
こうした背景には、実際の事件がある。法案が本格的に議論されるきっかけとなったのは、テキサス州で14歳の少女がAIで偽造されたヌード画像を作成・投稿される事件が発生したことだ。
AIで生成されて、あたかも本物のヌードのように見えた。これが大勢に共有された。この事件は、本人や家族だけでなく、青少年保護団体、各地の教育機関、そして社会全体に強い衝撃を与えた。
リベンジポルノや非同意性的画像の公開は、以前から刑事罰や損害賠償請求の対象となっていた。しかしAI技術による新たな手口や、画像生成の高度化・拡大スピードの前に、既存の法律では対応しきれなくなっている。
SNSや画像共有サイトなど、インターネットを通じた情報拡散の即時性や匿名性も加わり、被害がいっせいに広がる事態となった。州ごとに対応が分かれていたことも、抜け道を生む原因となっていた。
今回の連邦法の成立には、こうした抜本的な見直しが不可欠だった。法案の検討段階から、専門家や技術者だけでなく、被害者やその家族、青少年保護の現場で働く関係者が議会に証言し、実態を訴えて実現に至ったのだった。
だが、これで問題が解決したのだろうか?
コメントを書く