2024年5月16日。ジョー・バイデン大統領は、マリファナを「危険性の低い薬物」へと分類変更する案を正式に発表している。わかりやすくいうと、今までマリファナはヘロインや覚醒剤と同じジャンルの「危険なドラッグ」の扱いであったのが、ここからマリファナを外した。
今後、アメリカではマリファナは解熱鎮痛剤と同じ程度の扱いになっていく。
今までバイデン大統領はマリファナに関してはほとんど何も語ってこなかった。しかし、ここにきて一気呵成にマリファナ合法化を表明した。もちろん、それには理由がある。
大統領選挙が近く焦っており、とにかくさまざまな層にアピールしたいという意図があるのだ。これまで何もいっていなかったのだから、バイデン大統領はマリファナなんかどうでもよかった。
しかし、マリファナを「危険性の低い薬物」へと分類変更する案で、バイデン大統領は若者層の支持を引きつけることができる。実際、若者はこれに賛同していて、バイデン大統領の決断を大歓迎している。若者の一定層はこの決断でバイデンに投票するはずだ。
実はこれよりも前に、麻薬取締局(DEA)が先にマリファナの規制を緩和することを発表していたので、計画的に物事は進んでいたといえる。ただ、この動きはタイをのぞく東南アジア・東アジアには、ほとんど波及していないのが興味深い。
為政者のマリファナに対する拒絶心や忌避感は非常に強い。
若者はすでにどこの国でもマリファナに関しては非常に寛容に受けとめているのだが、高齢層を中心にマリファナにはいまだに覚醒剤とごっちゃになっていて、完全に「マリファナ=ドラッグ=覚醒剤」なのだ。
そもそも「ドラッグ」は日本語では「麻薬」と書かれる。麻《あさ》の薬、である。覚醒剤もLSDもヘロインもコカインもすべて「麻薬=麻の薬」だと称されている。これは完全に間違っている。
私自身は「麻薬」という言葉は廃語にしてしまえばいいと思っている。ドラッグは「強依存薬品」みたいな名前にすればいい。少なくとも、覚醒剤やヘロインを「麻の薬」と称するのは100%間違っているし、おかしいし、恣意的だ。