2021年12月4日、バンコクで『ミス・グランド・インターナショナル 2021』という美人コンテストが開催されたのだが、そこで優勝したのはグエン・トゥック・トゥイ・ティエンという1998年生まれ身長171センチの23歳女性だった。
この時期、タイでは風紀の乱れたワチラロンコン国王に対して強い反発が若者を突き動かしていて、反王室のデモが多発していたときだった。（ブラックアジア：コロナで経済苦、政権と王室は堕落し、抗議活動で政治的混乱に陥っているタイ）
トゥイ・ティエンはベトナム人だったが、このタイの社会運動を巧みな英語のスピーチの中に取り入れて、三本指のサインを指し示して反王室デモの運動に理解を示した。実はこのコンテストの趣旨は「Stop the War and Violence（戦争と暴力を止めよう！）」というものだったので、これはコンテストに沿ったものでもあった。
ただ、それは冒険であったのは間違いない。ミス・コンテストの審査員の中には反王室派もいるはずなのだが、逆に王室派もいるかもしれない。そうなれば、この三本指のサインによって彼女は落とされるだろう。
そもそも、自国の混乱をベトナム人の女性が取り上げるのは非常に微妙なことでもある。しかし、幸いにしてバンコクのこのミス・コンテストの審査員には、この政治的アピールは好意的に見られた。
そして、彼女はベトナム人としては初の優勝者となったのだった。
決勝大会には世界各国から70人の女性が出場していたのだが、その世界大会でベトナム人女性がトップになったのだ。
彼女の母国ベトナムではこの優勝に沸いて、彼女は一瞬にしてベトナムを代表する「美の女王」となってスターダムを駆け上がっていった。ベトナムでは以後はミス・コンテストのブームが起こったほどだった。
しかし、彼女が有名になればなるほど、彼女にスキャンダルが降りかかることになっていった。
