2023年11月1日。岡山市で自宅で産んだばかりの新生児を殺害したとして38歳の女性が逮捕されている。彼女は独身で68歳の母親とふたり暮らしだったのだが、その母親がへその緒がついたまま死んでいる赤ん坊の遺体を見て仰天して、119に連絡させて事件が発覚した。
68歳の母親は娘の妊娠に気づいていなかった。同じ屋根の下に暮らして毎日自分の娘を見ているのに、妊娠に気づかないということがあるのだろうかといぶかるが、太っていたりすると妊娠に気づかれにくいこともあるのかもしれない。
「1人で育てていく自信がなかった」と、38歳の女性は供述している。
この「1人で育てていく自信がない」という供述に私が思い出したのは、その数ヶ月前に栃木県で逮捕された女性のことだった。その女性は自宅アパートの駐車場で産み落とした男児の後頭部を地面に打ちつけて殺害し、ポリ袋に入れて捨てていた。
殺した理由は、やはり「1人で育てていく自信がなかった」というものだったのだ。「経済力が乏しく、交際相手も子どもを望んでいないと思った」というので、ひとりで産んで、そのまま殺して捨てた。
彼女はその前年にも自宅アパートで子供を産んで殺して捨てていた。しかし、その遺体は通常のゴミだと思われて処分されて見つかっていない。栃木と言えば、つい1か月前にも臨月一歩手前で21歳の女性が赤ん坊を産んだのだが、そのまま汲み取り式のトイレに捨てていた。
あまり大きく報道されていないのだが、厚生労働省の『子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について』によると、赤ん坊を意図的に殺して遺棄する「虐待死」は、『0歳児が40.7%と最も多く、0歳児の月齢では0か月児が31.8%と最も多い。また0か月児の死亡事例は、全て日齢0日での死亡』と述べられている。
つまり、産み捨てられて死んでいく赤ん坊の多くは「0歳0か月0日」で命を失うというわけだ。