誰かに騙された。裏切られた。金を奪われた。面と向かって嫌いだと言われた……。こうした出来事は、ありふれた出来事であったとしても、本人にとっては激しいショックを覚える人生経験でもある。
ある人は知り合った女性と3年ほど付き合ったが、彼女は急に邪険な態度を取るようになり、「あなたのことは最初から好きじゃなかった」みたいなことを言うようになったと私に話したことがある。
心をえぐるような刺々しい言葉も投げられ、人前でも嘲笑されるようになって、彼は心が折れて彼女と別れた。好きで信じていた女性だっただけに、ショックは大きかったようだ。
他に男ができたのかもしれないと彼は推測したが、もう関わりたくないので真実は分からない。
「あれ以来、道を歩いていても、急に彼女に言われた言葉や顔がフラッシュバックのように浮かんで、激しい動悸がしたり、気分が悪くなったりする。忘れたくとも忘れられない。繰り返し嫌な記憶が蘇ってしまって一日中落ち込んでいる。仕事も手がつかない」
彼はそのように言った。豹変した彼女の態度に完全に傷ついてしまっていた。そういうのは「よくある話」ではあるが、本人には凄まじいストレスと負荷がかかることでもある。
人は誰でも遅かれ早かれメンタルを破壊するような危険な人と出会って、心を病んでいく。「交通事故と同じで、壊れた心は簡単には治らない」と、実際に心を病んだ人が書いた文章を読んだことがあるが、それは間違いなく真実なのだろう。
