◆確実に会えないことが確定した段階で、甘い思い出は甘酸っぱい思い出になる

◆確実に会えないことが確定した段階で、甘い思い出は甘酸っぱい思い出になる

真夜中にひとりで寝ていると、いつも私は若い頃に知り合った女性たちのことを思い出したり、忘れてしまった彼女たちの顔を思い出そうとしたり、何気ない会話なんかを思い出そうとしたりしている。

最近はひとつ収穫があった。タイの首都バンコクにある歓楽街パッポンに近いホテルで一緒に過ごした女性のことを思い出したのだ。何十年も忘れていた女性だ。一度、思い出してしまうと、今度は「なんでこんな特徴的な女性を忘れていたのか」と自分の記憶力の弱さに呆れ果てた。

彼女はとても華奢《きゃしゃ》で、大きな目が特徴的で、他の男たちから見たら美人でも何でもない女性だったが、私はその彼女の個性的な顔がとても好きになった。本当に朝から晩まで眺めていたいほど気に入っていたはずだった。

普通、過去になればなるほど出会った女性の顔は思い出せない。しかし、彼女の顔は奇跡的に思い出した。ベッドの中で私を見てはにかむ「あの笑み」を私は覚えていた。数十年振りに思い出せたことで、うれしくて心が震えた。

そういえば、彼女とはどこのバーで会ったのだろう? 彼女と一緒にいたのはシーロム通りにある宿だったので、彼女とはパッポンで会ったのは間違いない。たしか彼女はゴーゴーバーのダンサーだったはずだ。

しかし、今度は彼女がどこのゴーゴーバーにいたのか思い出せない。もう数十年も覚えていないのだから、今さら思い出そうとしても無理な話なのは分かっている。しかし、忘れたことを自分の記憶の中から探ろうとするのが私の独り寝の冒険になっている。

『サファリ』だったか。それとも、『リップスティック』だったか。いや、『リフィフィ』だったか。もしかしたら『バレンタイン』だったか……。いや、待てよ。『バレンタイン』はパッポンだったのか? ソイ・カウボーイだったんじゃないか?

どうせ思い出せないし、追求しても無駄かもしれない。しかし、そうやって過去の世界を自分の脳裏の引き出しをこじ開けるようにして堂々巡りするのが楽しいのだ。そうすると、たまに良いこともあったりする……。

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