大阪のドヤ街である西成区あいりん地区で、ひたすら集めている生活保護の人に会ったことがある。
彼はいつ会ってもたくさんのビニール袋やズタ袋を手にしていて、街で不要品を拾っては部屋《ドヤ》に持って帰っていた。そのため、彼の部屋はゴミでいっぱいになって本人すら入れないような状態になった。
見かねた相談員が新しい部屋を用意すると、そちらもゴミまみれにしてしまう。この人と話をしてみると、やや論理的ではない話し方ではあったが、それほどコミニケーションに問題があるわけでもなかった。
しかし、際限なくゴミを集めると言う行動を見ると、彼には精神的な問題があったのかもしれない。
出稼ぎ専門の風俗嬢と話をしていると、しばしば寮をゴミまみれにして飛ぶ女性の話を聞く。汚れた下着や食べ物や生ゴミやカップ麺などを大量に放置して飛ぶ。ゴミ屋敷を専門に扱う清掃業者によると、風俗嬢がゴミ屋敷にするのは、珍しい話ではないと言うことだった。
どう考えても、精神的に問題があるように見えるのだが、さまざまな事象を見てきている清掃業者によれば、ごく普通の精神的に何の異常もない一般人もゴミ屋敷にしてしまうこともあると言う。
過度のストレスで、身の回りを清潔にする余裕を失ってしまった人もいる。孤独や、社会的な孤立をモノで囲まれることによって忘れようとする人もいる。
あるいは、家族や社会から見捨てられたと思って、あたかも自傷行為をしているかのように自分の身を構わなくなり、アルコールなどに溺れてゴミまみれにしてしまう人もいる。
そうかと思ったら、誰がどう見てもゴミ屋敷なのに、本人だけがその自覚がないと言うこともあるようだ。ゴミまみれに至るケースはひとつではないということだ。