「望まぬ妊娠をする」というのは、多くの女性にとっては悲劇をもたらす出来事である。アメリカでは「中絶は殺人である」という認識で絶対に認めないという州もあり、たとえばルイジアナ州では人工妊娠中絶をした女性が殺人罪に問われるような、そういう出来事もあった。
南米ブラジルでもカトリックの影響が強い国では、レイプされて妊娠に至った女性の中絶も認めないということで、10歳の少女がレイプされて妊娠したが裁判所も中絶を認めないほどであった。(ブラジルのレイプ被害者は17歳以下の未成年に集中、最も被害者が多い年齢は?)
「中絶は憲法で認められた女性の権利」なのか、それとも「中絶は無力な存在の命を奪う殺人」なのか、それは今も国によって揺れている。また、「女性の権利」だと認められた国であっても、やはり国内では中絶に関する考え方は人それぞれである。
日本は中絶を認めている。妊娠21週までの人工妊娠中絶は母体保護法によって合法である。
しかし、合法であるからはいくらでも中絶していいというわけではなく、当然のことながら日本国内でも中絶に関してはそれぞれ意見が違っていて、激しく意見がぶつかり合っている。
今、日本でこの問題が再びクローズアップされているのは、「飲んで妊娠をやめられる中絶薬」がそろそろ承認される運びとなっているからだ。この薬はイギリスの製薬会社ラインファーマのもので、「メフィーゴパック」と呼ばれるものである。
これが承認されれば、日本で初の「飲む中絶薬」となる。現在、厚生労働省がパブリックコメントの精査を行っていて早ければ来月にも審議に入る。