今の日本ではタトゥーに対する思いはまだ複雑だ。それはヤクザを代表する裏社会の人間たちや、半グレやアウトローたちのシンボルのように思われており、その意識はなかなか変わらない。
しかし、許容度は確実に広がっている。普通の人たちがファッションで入れるワンポイントタトゥーも増えて、それが定着するようになってきているからだ。中高年や高齢者の間でも、ここ10年で「ワンポイントくらいならいいじゃないか」という意識が出てきているようにも見える。
これは、日本人でもアスリートやミュージシャンなどの「人目を惹く」人たちが積極的にタトゥーを取り入れているからに他ならない。
彼らは自分に「人々の目」を惹きつけるのが仕事だ。そのため、タトゥーを入れることは彼らにとってはマイナスではない。ステージに立つ表現者にとって、自分の「肉体」を注目させるのにタトゥーは最適なのだ。
「肉体」に注目を惹きつけるという意味では、アンダーグラウンドに生きる男や女たちもまた同様だ。
セックス産業に棲む女たちの少なからずがタトゥーを愛するのは、決して奇異なことではない。彼女たちはまず「注目」されなければ「交渉」に入れないが、注目の部分で武器になるのがタトゥーだからだ。
しかし、誰もがワンポイント的にタトゥーを入れるようになると、次第に状況が変わっていくようになる。当初はワンポイントだったはずのタトゥーは次第に大きな面積をタトゥーで埋め尽くす人が増えるようになっていくのだ。
風俗嬢にも、大きなタトゥーを全身に入れている女性は、もはや珍しくも何ともなくなっている。今さら驚く方がどうかしている。私自身も何度もそういう風俗嬢と会っている。