カンボジア編
熱帯地方のスコールは、思い切り激しく降ってから晴れるというのが一般的だ。
しかし、プノンペンの8月や9月をそう思って行くと、いつまでもやまない雨にイライラすることになる。もちろん激しく降ってさっとやむスコールもあるが、日本の梅雨のような鬱陶しい雨も多い。
これは異常気象というわけではなく、どうやらそういうものらしい。長い雨が続くと、とたんにメコン川などが氾濫してコンポンチャムやプノンペンでは例年のごとく洪水騒ぎになる。63ストリートもドロドロになってとても置屋どころではない。
70ストリートに至っては、穴ぼこだらけの水たまりが沼のようになってしまい、うっかりモトバイクが穴にはまると、運転手もろともバイクから放り出されるような危険な状況になる。
何年か前、大きな水たまりの穴にはまって、その反動でバイクから放り出された白人を見たことがある。滑稽だった。しかし泥にタイヤを取られて滑るバイクのうしろに乗っていたので、笑う余裕さえなかった。
置屋に入っても70ストリートの小屋はしょせんバラックだった。天井からぼたぼたと水が滴って、屋根などあってなきがごとしだ。
ベッドの上にも水滴を受け取るためにナベやらコップやらを置いていて動かせないし、娘たちは滴る雨にキャアキャア言っている。とても……
(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきたカンボジア売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア カンボジア編』にて、全文をお読み下さい)
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