素晴らしい家庭で育った女性や、満ち足りた人生を送っている女性や、自分を理解してくれたり支援してくれる友人がまわりにいたり、コミュニケーション能力が高かったり、経済的に問題のない女性は、真夜中の世界に降りてこない。
ましてや風俗嬢になったり、売春に関わったりすることもない。
これを逆に言えば、育った家庭に問題があったり、失意と失望と挫折にまみれた人生を送っていたり、助けてくれる友人などひとりもいなかったり、コミュニケーション能力が劣っていたり、経済的に困窮していたりする女性が、そろりそろりと真夜中の世界に蹴落とされていくということになる。
セックス産業にいる女性には、この世界に入る前からすでに人生が破綻していて、しかも親兄弟や友人たちとの人間関係も希薄だったり、壊れていたりして、孤独にまみれていることが多い。
普通の感覚を持った何不自由なく育った女性が好奇心でセックス産業に足を踏み入れるというケースもあったりするし、金のために完全に割り切って完全にビジネスとしてセックス産業を見ている女性もいるので、セックス産業にいる女性の境遇はひとくくりにはできない。
しかし、こうした世界にいる女性たちを追っていると、往々にして孤独を感じさせる女性が多いことに誰でも気づくはずだ。
女性たちは自分が持っている孤独を、ビジネスの現場では巧みに隠そうとするが、しばらく話をしていると疎外感や怒りや不満や深いあきらめが彼女の中に渦巻いて、「彼女は孤独なんだな」というのが分かってくる。
性サービス自身も彼女の自傷であったりすることもある。男は目の前の女性が「性サービスという自傷をしているのだ」と考えたことは絶対にないはずだ。自分が彼女の自傷の道具になっているとは……。