デリヘル嬢の話を聞いていると、彼女たちはしばしば「奇妙な客」に遭遇した時の話をしてくれる。女装しながら性サービスを受ける男の話を新神戸に住むデリヘル嬢に聞いて、「そんな男もいるのか」と驚いたこともあった。
『その女装がすごいんですよ。アルプスの少女ハイジに出てくるクララって知ってます? あの格好。金髪のカツラをかぶって、ブラジャーとビキニをつけて、ブラジャーの中にはニセモノのシリコンおっぱいが入ってるんです……』
彼女はそう言っていた。この時のインタビューの内容は書籍『デリヘル嬢と会う』の中の「デリヘルの女」の項目に記している。(Amazon:デリヘル嬢と会う 彼女は、あなたのよく知っている人かも知れない)
東京でインタビューしたデリヘル嬢も、ほぼ同じ話をしてくれた。女装する友人を知っている人はそれほどいないと思うのだが、デリヘル嬢はしばしばこうした男と遭遇しているわけで、そう考えると隠れた性的嗜好を隠している男はかなり多いのではないだろうか?
そうかと思えば、女性に排尿してもらったのを身体で受け止めるのを好む男がいたり、女性にアナルを犯してもらいたいと男がいたりする。あまりにそのような要求をする男が多いので、デリヘル店ではそれをオプションとしてあらかじめ用意して特別に値段を取るようにしている。
デリヘル嬢の中には奇妙な性癖を持った客だけでなく、身内に困惑している女性もいた。妹や母親の下着でマスターベーションするニートの兄を嫌って家を出たというデリヘル嬢がそうだ。(書籍『デリヘル嬢と会う』の中の「鬱病の母、兄の性的な問題行動」にて)
セックスワークに就いている女性の話を聞いていると、男たちの性的嗜好の「ゆがみ方の多様さ」に圧倒される。
このゆがんだ性的嗜好は、いったい何が生み出すのか不思議に思ったことはないだろうか?