山口県阿武町が田口翔という24歳の無職の男に誤って4630万円を振り込んで、返さないどころかネットカジノで全部使って逮捕されるという事件があった。
この男はこの4630万円が振り込まれるまでは口座に665円しか入っていなかったということなのだが、665円しかないところに突如として4630万円が魔法のように転がり込んできて、さぞかし驚いたはずだ。
普通の人なら「これを使ったらマズいな」と考えて、素直に返すのだろうがこの男はそうではなかった。金が振り込まれてからすぐにカード決済や振り込みを10日間ずっと続けて、口座をほぼすっからかんにしたのだった。
「複数のネットカジノですべて使った」
男はそのように証言している。いくら何でも4630万円もの大金を10日でギャンブルで使い果たせるものだろうかという疑問もあるわけで、本当に「すべて」使ったのかどうかは、これから検証が入るところだ。
ただ、この男は貯金がないくせに金に対する執着が非常に強かったという話もあって、そうした性格を加味すると「本当にすべてギャンブルで使ったのではないか?」という線もなくはない。
私も著書『どん底に落ちた養分たち』で、パチンコ依存に陥った人たちの何人かをインタビューしたことがあるのだが、ギャンブル依存者の発想は普通の人の発想とはまったく違っている。
失ったらマズい金があったら、「それをギャンブルで倍増しよう」と考えて、賭けに出るのである。分かりやすく言えば、このように考えるのだ。
「ここにある金を二倍にしたら、半分返しても半分残るじゃないか」
4630万円を二倍の9260万円にしたら、4630万円を返しても4630万円が残る。そういう発想が典型的なギャンブラーの発想なのだ。