金がすべてだと言わんばかりの態度を剥き出しにした女性

金がすべてだと言わんばかりの態度を剥き出しにした女性

フィリピンのマニラの売春バーに、一人の女性がいた。ひっきりなしにタバコを吸い、いつもイライラしていて、落ち着きのない女性だった。

彼女は若い女性を何人も束ねていて、彼女たちを男に斡旋してはリベートを取るビジネスをしている。

こういったビジネスをする女性の元締めのような姉御が、東南アジアの歓楽街にはどこにでもいる。彼女もその一人で、男がやって来ると、飛んで行って若い女性を紹介するのだ。

強引で、短気で、しつこかった。

そんな彼女の、金に飢えた、ギラギラした目が忘れられない。金しか信用しない、金がすべてだと言わんばかりの態度が|剥《む》き出しになっていて、異様な迫力があった。

「売春地帯の女」という感じが、そこにあった。

マニラの売春バー『LAカフェ』の中で、そんな女性が絡みついて離れなかった。

三十代後半だろうか。長い髪をしていつもタバコをくわえる彼女は貫禄があって嫌いではない。しかし、彼女自身はもう売春ビジネスをしない。若い女性を適当な男に紹介して手数料を取るだけだ。

一度、私が「君をバーファインしたい」と冗談で言ったら、無表情に見くだした目をして「ふん、わたしはダメよ」と苦々しく言った。

ほとんどのママサンは売春ビジネス上がりだ。男に言い寄られたら、斡旋業をやめて一人の売春女性に戻ることも多い。しかし、彼女は別だ。売春をかたくなに拒否し、誘われたら怒りの表情さえ見せる。

「どうしてだい?」

肩に触れようとすると、彼女は「うるさいわね」と言わんばかりにその手を払いのけて向こうに行ってしまう。あとでいろんな女性に聞いてみると……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア フィリピン編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・フィリピン編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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