ひとつの哀しい国がある。モルドバだ。
私たちは誰もモルドバという国に興味がない。関心もない。だから、それがどこにある国なのかも知らないし、まして歴史も知らない。
私たちは誰も、この国のことを知らない。ただ、闇をさまよってハイエナのように売春女性を食い荒らす男たちは、モルドバの女性のことをよく知っているかもしれない。
なぜなら、売春地帯の多くにモルドバ女性がいるからだ。彼女たちは普通に「白人」だ。どちらかというと、素朴な感じがする女性が多い。
モルドバは東欧の貧しく、小さな国だ。ソ連を構成する国のひとつだったが、ソ連が崩壊したあと、1991年にモルドバとして独立した。
しかし、国内には何の資源も産業もなく、歴史から見捨てられたまま現在に至っている。なぜ、世界中の売春地帯にモルドバの女性が売られ続けているのか。貧困がそこにあるからだ。