2020年11月17日、真夜中の午前2時。横浜市南区のホテルの一室で村石恭男という50歳の男が26歳のデリヘル嬢を部屋に呼んだ。デリヘル嬢が部屋に行くと、この男は「お前もやれ」と言って一本の注射器を見せつけた。
女性はもちろん拒絶するが、男は腕をつかんで離さない。女性は必死で逃れて店に連絡して助けを求めた。
店長はすぐに110番に連絡し、警察がホテルの一室に駆けつけた。結局、注射器と覚醒剤0.5グラムが見つかって、この村石恭男という男は覚醒剤取締法違反(所持)と暴行の疑いで逮捕された。
デリヘル嬢を呼んで、無理やり覚醒剤を打とうとする覚醒剤依存者の事件だが、襲われたデリヘル嬢はさぞかし恐怖におののいたはずだ。
デリヘル嬢が呼ばれた部屋に行ったら、得体の知れない男だったというケースはよくある。
もはや立てないほど泥酔している客であったり、SMでもないのにナイフや拘束器具を持った変質者だったり、全身刺青で100万円の束をテーブルに叩き付けて「お前を買う」という男だったりする。
こうした奇妙な男たちと出会う話は私自身が実際にデリヘル嬢から聞くのだが、恐ろしい男は世の中にいくらでもいる。中でも恐ろしいのは明らかにクスリでガン決まりになった男だろう。理性が飛んでいるからだ。
どこのデリヘル店でも必ず注意書きがあるのだが、ここには「泥酔または衛生上の理由によりプレイが困難な方」「女性に乱暴な扱いをされる方、女性が怖がる暴言を吐かれる方」「暴力団関係者またはそれに準ずる方」……等々が列挙されているのだが、その中のひとつに必ず、この文言がある。
「違法ドラッグ、薬物などを使用されてる方」
ドラッグを所持していて、デリヘル嬢に打とうとする男は「珍しくない」ということだ。そのドラッグは大抵は覚醒剤である。なぜ覚醒剤依存者は女性にも覚醒剤を打たせようとするのか。もちろん、言うまでもない……。