タイの真夜中をうろうろしていると、たまに簡易的なステージが組まれて、そこでタイのルークトゥンを歌うとても若い女性の姿を見ることがある。
ルークトゥンというのは、「田舎の音楽」という意味で、昔からタイで歌い継がれている大衆音楽のジャンルの一つである。
ステージを見据えてしみじみと聞いて、曲が終わって去ろうとすると、ステージの女性がこちらに気付いて、そっと合掌(ワイ)をしてお礼をしてくれることもある。
それは、「聞いてくれて、ありがとう」という意味のお礼だ。私もワイを返して立ち去る。
まだ、とても若い娘、もしかしたら10代の半ばくらいではないかと思うような年齢の娘が、売春地帯の場末のオープンバーの片隅のステージで歌っているのだから、何となく物哀しいものを感じることもある。
真夜中のタイの歓楽街で、こういったドサ回りの若い娘たちの姿を見かけない日はない。