新型コロナウイルスが蔓延するこの状況で旅行する価値はないと私は思っている

新型コロナウイルスが蔓延するこの状況で旅行する価値はないと私は思っている

新型コロナウイルスはすでに中国から世界に向けて広く拡散した。こんな状況になっても、海外に旅行に行きたい人は大勢いるはずだ。しかし、もうこうなった以上は海外旅行はしばらく延期した方がいいに決まっている。私もしばらく海外に行かないことに決めたのだが、ブラックアジアの読者にも海外に行くのはオススメしない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

当日に運行がキャンセルされるかもしれないような状況

すでに航空業界は大ダメージを受けている。

日本発の飛行機も日本着の飛行機も減便や運行停止が起きている。国内線ですらも減便が起きており、日本航空も3月6日の段階で計726便も減便することを報告している。JALだけでそうなのだ。

今後も予断を許さない。1ヶ月後の予定どころか1週間後の予定ですらも危うい状況になっている。

今は「通常通りの運行」だとアナウンスされていても、当日に運行がキャンセルされるかもしれない。

国内で運行停止の憂き目に遭ったら空港から黙って家に帰ればいいだけの話だが、国外で日本行き発着便全面停止の憂き目に遭ったら下手したら日本に戻れなくなる可能性もある。

さらに言えば、飛行機は予定通り運航していても「中国人・韓国人・日本人は乗せられない」と言われることもあるかもしれない。そういうことが、いつ起きてもおかしくないのが今の状況なのである。

空港でも検疫に絡む検査などで、面倒が増えるはずだ。つまり、こうした全世界を巻き込む「非常時」は旅行に行っても飛行機に乗る段階ですでにトラブルに巻き込まれる可能性が高まるのである。

スケジュール通りにはいかなくなるし、下手したら現地に到着することすらもおぼつかなくなる。新型コロナウイルスに感染するかどうかの前に、旅行自体がキャンセルされるかもしれないのだ。そこまでして旅行に行く必要があるだろうか。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

外国人の入国制限は厳しくなっていく一方となる

日本は中国・韓国に対してビザの発行を中止し、発着率を東京と大阪に絞って、事実上の入国拒否の措置を取ったが、韓国もそれに対抗して日本人を入国拒否する措置を取った。

たった一日でこのように状況が変わる。

現在、EU(欧州連合)もアメリカも新型コロナウイルスの蔓延が本格化してきており、外国人の入国に関しては非常に神経を尖らせるようになっている。日本人を一時的に隔離措置する国も出てきている。

また、東南アジアも日本旅行から戻ってきた自国民が新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになったケースもあって、日本人の入国を厳しく規制するようになりつつある。

こうした動きは刻々と変わっていく。今のところ特効薬の開発が為されていないので、各国政府は入国制限で新型コロナウイルスの蔓延を遅らせるしか手がない。そのため、外国人の入国制限は厳しくなっていく一方なのである。

これは、もはや飛行機に乗って現地に行っても入国できるかどうかは分からないということを意味している。現地の空港に着いても、イミグレーションで弾かれて「トンボ帰りしろ」と言われるかもしれないのだ。

もちろん、絶対にそうなるとは言っていない。しかし、そうなってもおかしくない。何が起きるのか分からない。それが今の状況なのだ。

こうした問題を何とか乗り越え、現地に入ればそれで後は普段通りに旅行ができるのだろうか。

いや、イギリスやEU諸国やアメリカで起きている事件を見ても分かる通り、アジア人は「近寄るな」と罵られたり「コロナ」と避けられたり、場合によっては「帰れ」と言って殴る蹴るの暴力を受けるかもしれない。

そういう事件が次々と起きている。欧米はポリティカル・コレクトネスが徹底されていて差別がないとか、そんな夢みたいなことを思ってはいけない。欧米はナチュラルに差別が横行している。こうした状況になると、一気に標的になる。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

現地人は恐怖と不安に駆られて逃げていくだろう

ハンガリーを旅行していた日本人15人が「咳をしていた」というので全員まとめて隔離されているのだが、仮に花粉症の症状であってもただの空咳であっても隔離を解いてくれることはないだろう。

現地でただ咳をしただけでも病院に隔離されて陰性でも強制的に帰国させられるのであれば、何のために旅行に行ったのか分からない。このような事件はたまたまハンガリーで起きているのだが、これがどこの国であっても不思議ではない。

旅に出て体調を崩して咳をしたりくしゃみをしたりすることは珍しくない。今、咳ひとつで現地人は恐怖と不安に駆られて逃げていくだろう。差別とかではない。誰もが新型コロナウイルスを恐ろしいと思っており、避けたいと考えているのだ。

「アジア人だから避けられる」「日本人だから避けられる」というのは、起こり得るのである。

同じアジア人だから東南アジアでは問題ないだろう、ということにもならない。仮に東南アジアに行ったとしても、東南アジア人は日本が新型コロナウイルスの封じ込めに失敗した国であることを知っているので「日本人」というだけで警戒される。

台湾に行っても香港に行っても、やはり「日本から来た」と言ったら避けられることになる。実際に現地にいる人が「コロナと言われて避けられた」という声を上げている。差別というよりも、誰もが不安なのである。

そんな目に遭ってまで旅行をする理由は果たしてあるのだろうか。

ちなみに、私自身は東南アジアは数字に出ている以上の感染者がいると考えている。大雑把で衛生的にも大らかな国なので、感染者がうまく捕捉されているとは思えない。

場合によっては、これからひどいことになりそうな予感もする。愛する東南アジアだけはそうなって欲しくないのだが……。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

行き先がどこであろうと感染する可能性がある

いくら新型コロナウイルスが蔓延しているからと言って、数十億人がかかっているわけではないのだから、「そう簡単に感染なんかしない」と考える人もいる。

しかし、新型コロナウイルスの感染者は「外国帰り」に多いことを見ても分かる通り、旅行者は感染しやすい環境にあると考えた方がいい。

空港にも旅客機にも感染の発生源となった中国人が大量に乗っているし、空港から都市に入るための電車・バス・タクシーなどの交通機関もまた感染のホットスポットとなっている。

中国帰りの旅行者だけでなく、ヨーロッパ帰りやハワイ帰りの日本人も新型コロナウイルスに感染している。

東南アジアを見ても、フィリピンから帰国した日本人が感染していたり、フィリピン・ベトナム・カンボジアを巡っていた日本人が帰国して感染が発覚したというケースもある。

つまり、行き先がどこであろうと感染する可能性がある。「そう簡単に感染なんかしない」というのは事実かもしれないが、絶対に感染しないというわけでもない。疑心暗鬼にとらわれながらの旅となるだろう。

それに、万一無事に戻ってきたつもりでも安心できない。潜伏期間は2週間なのだから、日本で日常生活を送ってしばらくして体調を崩して感染が発覚するかもしれない。

現にエジプト帰りの日本人は戻っていてしばらく普通に日常生活を送っていて、スナックにも行けばスポーツジムにも行っていたが、その後に感染が発覚してスポーツジムも休業を余儀なくされるような騒ぎとなっている。

万一感染していたら、家族も隔離されれば会社も閉鎖され、同僚や取引先にも多大な迷惑をかけることになる。

これほどまでリスクを取って、たかが「お遊び」でしかない旅行をする価値があるのだろうか。私はないと思う。「こうなった以上は海外旅行はしばらく延期した方がいい」というのは、そういうことだ。

ワクチンや治療法は必ずできる。しばらくの辛抱だ。

ブラックアジア
『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々(一覧)』

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

一般カテゴリの最新記事