中国の新型コロナウイルスの最大の問題点は、中国共産党政権の隠蔽体質である

中国の新型コロナウイルスの最大の問題点は、中国共産党政権の隠蔽体質である

SARSの時はコウモリが感染源だった。しかし、現在の新型コロナウイルスは、どの野生動物が発生源なのかよく分かっていない。「机と椅子以外は何でも食べる」と言われている中国の文化と、衛生面では劣悪な市場の環境が、こうしたウイルスを拡散させているという実態はある。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

事態は報道以上に悪化しているのを隠蔽しているのか?

中国の湖北省武漢市で新型コロナウイルスによる肺炎が広がっており、中国政府は2020年1月20日の時点で「感染者は62人」と発表した。このうちの2人はすでに死亡し、8人は重症であると言う。

しかし、中国のこの「数字」を鵜呑みにする人など、どこにもいない。

英専門機関「インペリアル・カレッジ・ロンドン」は、海外での発症者数や武漢の空港利用者数、ウイルスの潜伏期間を元に、感染者はすでに「1700人超」と推計している。62人と1700人超では、数字がまるっきり違っている。

中国の微博に投稿されてすぐに削除された内容によると、武漢では「病院が満員で、ベッドが足りないので床に寝ている患者もいた」と書かれていた。

病院が満杯なので「家に帰って静養しろ」とも言われており、それが事実だと丸っきり隔離措置ができていないということになる。

さらに中国当局は「人と人の感染はない」と言っているにも関わらず、SNSでは「父から母に感染した」とも述べられている。

こうした状況から見ると、中国共産党政権が発表している「62人」という数字よりも、英専門機関が報告している「1700人超」という数字の方が信憑性がありそうだ。

中国は真実を尊ぶ国ではない。都合の良い数字は誇張し、都合の悪い数字は極小化する国なのだ。そのため、中国共産党政権の出してきた数字はGDPだろうが事故現場の死者数だろうが疫病の患者数だろうが、どれもまったく信用できない。

今回の新型コロナウイルスによる肺炎にしても、事態は報道以上に悪化しているのを隠蔽している可能性は非常に高い。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

新型コロナウイルスで春節パンデミックが起きるか?

そう言えば、重症急性呼吸器症候群(SARS:サーズ)が中国で猛威を振るったのは2002年から2003年だった。

中国はこのSARSの爆発的な流行を隠蔽したことから26ヵ国8096人が感染して774人が死亡するような大惨事を引き起こしたのも記憶に新しい。この頃はまだ日本はインバウンドを積極展開する国ではなかったが、それでも大きな影響を受けた。

もし、新型コロナウイルスが突然変異して凶暴化したら、週に1000便も日本に向けて中国から飛行機がやってくる現在の破壊度はSARSの比ではなくなる。そういう事態にならないのが一番いいのだが、どうなるのか分からないのがこうした災厄だ。

ところで、新型コロナウイルスの発生源となった武漢の「華南海鮮卸売市場」だが、いったいどんな市場だったのか。

日本のマスコミの報道では「魚市場」とだけ報道されているが、香港の報道によるとこの市場は「食用の野生動物も多く取り扱われていた」ということだ。

ヘビからネズミからキツネからクジャクからウサギからアナグマからサルまでが販売されていて、その内臓が無造作に床に捨てられていたりしているような、そんな市場だったのだ。

SARSの時はコウモリが感染源だった。しかし、現在の新型コロナウイルスは、どの野生動物が発生源なのかよく分かっていない。

いずれにせよ、「机と椅子以外は何でも食べる」と言われている中国の文化と、衛生面では劣悪な市場の環境が、こうしたウイルスを拡散させているという実態はある。

中国は1月24日から「春節」と呼ばれる旧正月の大型連休が始まるのだが、これによって春節パンデミックが起きるかもしれないと懸念されており、中国の監視態勢はかなり厳しいものになっている。

新型コロナウイルスで春節パンデミックが起きるのだろうか。今のところ何とも言えないところがある。情報が錯綜している上に、中国の隠蔽体質があって真実がよく分からないからである。

【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。

いかんせん、中国共産党政権の発表が信用できない

問題になっている華南海鮮卸売市場は閉鎖されている。さらに「人から人」の感染は今のところ報告されていないと当局は言い張っている。そのため、新型コロナウイルスは自然に収束すると見る人もいる。

その見方は以下の中国共産党政権の発表が正しければの話だ。

「感染者は62人だけである」
「発生源は華南海鮮卸売市場だけである」
「人から人への感染はない」

SNSでの投稿では「病院が満杯で床に寝ている人もいた」というのだから、すでに中国では手の施しようがないくらいひどいことになっていることも想定すべきだ。

そして、台湾の保健当局は「7割は華南海鮮卸売市場の関係者かも知れないが、3割はそうではないので、市場だけが感染経路だと限定すべきではない」とも述べている。この市場以外にも感染源がある可能性もある。

そして、どの野生動物が問題だったのかも明確ではない。感染源がはっきりしないのであれば、その感染源が放置されている間は、いつでもウイルスは蔓延する「余地」を残している。

さらに、「人から人への感染はない」という中国側の発表にしても疑問が残る。日本で新型コロナウイルスが検出された神奈川県在住の30代の中国人は、「華南海鮮卸売市場は行かなかった」と述べている。

しかし、この患者の武漢市在住の父親が肺炎を発症している。つまり、人から人への感染が起きていた可能性が濃厚なのだ。

中国共産党政権の発表が間違っているのであれば、封じ込めはそれほど簡単なことではないという見方もできる。いかんせん、中国共産党政権の発表が信用できないのだから、私たちに事実が分かろうはずもない。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

感染者は、それでも飛行機に乗って日本にやってきた

中国は常に「都合の悪い事実は隠蔽し、都合の悪い数字は極小化する」という体質のある国である。中国は共産党政権の都合の悪い数字は、すべて都合の良い数字に捏造されるか隠蔽される。

そのため、今回の事態もいくら当局が外部とコンタクトを取って関係機関と密接に情報交換をしていると言っても、その情報自体が信用できない。懸念材料は常に消えることはない。

中国湖北省武漢市では相次いで発見され、タイでも香港でも台湾でも日本でも感染者がすぐに見つかっているのに、中国本土に目を向けると、なぜか「武漢以外には患者がいない」という不自然なことになっている。

この不自然さを指して「国外へは出るが省外へは出ない。愛国ウイルス」と皮肉る人もいるということなのだが、結局のところは中国共産党政権の「隠蔽」が行われているということを示しているわけである。

ただ1月19日になってさすがに「隠しきれない」と思ったのか、中国共産党政権は上海と広東省でも感染者が出たと報道されるようになっている。患者がすでに1700人超であるとすれば、さらに広がっていくだろう。

あと5日ほどで春節がやってくるのだが、中国はこの5日間で、患者を完全隔離してウイルスを封じ込めることが可能なのだろうか。

そうであれば僥倖だが、共産党政権の隠蔽体質のせいで封じ込めは失敗し、中国全土に新型コロナウイルスが拡散していくかもしれない。そして、結局は中国本土で収まりきれずに世界的パンデミックが起きるかもしれない。

そうなれば、もちろん日本にも大量に感染者が入ってくることになるだろう。神奈川県在住の中国人男性は、中国にいた時にはすでに発症していたのだが、それでも飛行機に乗って日本にやってきたではないか。

『「中国大崩壊」入門 何が起きているのか? これからどうなるか? どう対応すべきか?(渡邉哲也)』

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

一般カテゴリの最新記事