行ったら殺される。手の付けられない無法地帯、ホンジュラス

行ったら殺される。手の付けられない無法地帯、ホンジュラス

治安が悪化した場所というのは、普通の人にとっては暮らしにくい場所だが、犯罪者にとっては暮らしやすい場所になる。

だから、治安が悪化すればするほど、まともな人は出て行き、まともではない人が流入して来る。その結果、ますます治安が悪化してしまい、最後には手が付けられない最悪の状況になってしまう。

2013年3月31日、世界の主要都市の中で、最悪の「犯罪都市」として選ばれたのが、ホンジュラスのサンペドロスラだった。

ホンジュラスは脆弱な国家、貧困、汚職、麻薬と言った、無法地帯になる要素をすべて持っている。

それに目を付けて、周辺国から犯罪者が大量に流入してホンジュラスに潜むようになってから、治安は悪化する一方になっている。そして、今では世界最悪の殺人発生率となった。

CNNはホンジュラスの治安悪化について、「メキシコの麻薬組織の人間が流入している」「アメリカが犯罪を犯した移民を積極的に国外追放している」という2点を挙げている。

高い失業率、腐敗と汚職

ホンジュラスでは2012年5月24日に、国家非常事態宣言が発令されていた。

暴力の蔓延が止められなくなって、非常事態宣言が出される。そのこと自体がこの国の絶望的な状況が示されていた。

力をつけたメキシコの麻薬カルテルが勢力をメキシコ国内にとどまらず、さらに南下して中米に麻薬と銃を拡散していたのである。

ホンジュラスだけではない。グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドルも、すでに非常に危機的な状況にある。中でもホンジュラスの治安悪化率が最悪になっているということだ。

ホンジュラスの首都はテグシガルパだが、このテグシガルパの治安もサンペドロスラと同様に悪化の一方を辿っている。

ホンジュラスは私も2度行っているが、この国は首都から一歩出ると、草原のような光景が延々と続くだけの本当に何もない国だ。

最後に訪れたのが1990年代の話だが、貧しいとは言えどもどこか牧歌的な雰囲気を漂わせていたあの国は、なぜ、こんなことになってしまったのか。

間接的にはメキシコの麻薬カルテルの暗躍ではあるが、それは直接的な原因ではない。この国を転落させた本当の原因は「貧困」だ。

現在、国民の70%が失業しているこの国では、生きていくためには犯罪に走るか、麻薬を売るか、それともこの国を出て出稼ぎするしかないと言われているのである。

高い失業率、腐敗と汚職にまみれた政治、成長戦略のまったくない経済が国民を失意に陥れている。


つきまとうアメリカの影

そんなところに2009年6月28日にマヌエル・セラヤ大統領が軍事クーデターで国外に追放された。国内が一時的に麻痺状態に陥って行政もストップした。

ホンジュラスの国民は、セラヤ大統領が追放された裏にはアメリカがいると現在でも固く信じ込んでいる。

なぜか。

セラヤ大統領は、ホンジュラスが事実上アメリカの属国のような状態から脱したいと考え、ホンジュラスにあるアメリカの基地を返還させようと奮闘してきたからである。

ホンジュラスは、もともとスペインの植民地である。

広大な土地は一部のファミリーによって独占されてプランテーションで労働させられていた国民は単なる農奴のような存在になっていた。

やがてスペインが没落すると、入れ替わるようにしてアメリカが入り込んで行く。

プランテーションで作られた農産物の行き先はアメリカで、そのプランテーションを経営するのもアメリカの企業になっていた。

1933年に起きた軍事クーデターも、アメリカがアンディーノ将軍と組んで行ったものであるとされている。

その後も、周辺国と数え切れないほどの小競り合いを起こしてまったく国情が安定しなかった。

さらに1980年代は親米勢力コントラの基地を抱えるアメリカの出先国家として利用されてきた。

セラヤ大統領は、ホンジュラスを真に独立した国家として導こうとしていたのである。だから、アメリカにホンジュラスから出て行くように言って、基地を返還せよと訴えていた。

その矢先に追放されたのだから、このクーデター劇の裏側にアメリカがいたとホンジュラスの国民が信じても何ら不思議はない。

ホンジュラス、マヌエル・セラヤ大統領。ホンジュラスの治安悪化を食い止めることはまったくできていない。

世界最悪の無法地帯になったホンジュラス

もっとも、そのマヌエル・セラヤ大統領自身も、クーデターのきっかけを産んだのが「終身」大統領を狙った画策にあったのを見ても分かる通り、自らが招いた種でもあると言われているのも事実だ。

混乱する政治闘争に、国民と経済は置いてけぼりにされ、これを受けて、もともと治安の良くなかったホンジュラスはさらに治安を悪化させた。

これに警察官の職場放棄や汚職が重なって、一気に無法地帯へと落ちていくことになった。

これはどこの途上国でも言える話だが、警察官は途上国になればなるほど腐敗し、国民に信用されず、ギャングかマフィアの仲間のような存在へと堕していく。

ホンジュラスでもまた警察官は「制服を着た暴力団」と言われており、犯罪防止にはあまり役立っていない。

逆らう人間は問答無用に撃ち殺すか、正規手続きもなく片っ端から刑務所にぶち込むようなやり方をしていて、お陰でホンジュラスの刑務所では常に定員の2倍、3倍の受刑者が押し込められているという。

そこに起きたのが、2012年2月14日に起きた史上最悪の刑務所火災だった。この火災で359人の受刑者が黒焦げになって死んでいった。(ホンジュラスの刑務所火災で起きていた受刑者の大量焼死

最初は電気系統の漏電で起きたが、すぐに受刑者が放火したという話が出た。さらにその後、看守が受刑者を閉じ込めたまま見殺しにしたのが「わざとだった」という話となっていった。

実際、看守はわざと鍵を開けないで見殺しにした疑いが濃厚になっている。

犯罪者を助けるよりも、見殺しにして焼死させた方が手間が省けるという判断だったのかもしれない。犯罪者も、警察当局も、すべてこのような状況なのだ。

女性にとっても非常に危険な国で、殺害された人の11%は女性が占めている。ホンジュラスとは、そんな国なのである。(暴力にまみれたホンジュラスは女性にも地獄の国家である

そして、この事件から3ヶ月後の2012年5月24日、ホンジュラスで国家非常事態宣言が発令される事態になっていく。

ホンジュラスの貧困は、まだ何も解決していない。

世界最悪の無法地帯になったホンジュラスの受難は、これからも続くはずだ。






 

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