ブラックアジアは売春地帯を描くところからスタートしている関係上、そのコンテンツには売春する女たちの話と、売春の現場と、売春に関わるアンダーグラウンドの動きに関する記事は凄まじく大量にある。
ブラックアジアは「日本最大の売春考察サイト」であるとも言える。
そうした関係もあって「売春地帯に行きたい」という男たちや、「セックス産業で働きたい」という女たちからコンタクトを受けることも多くある。そのような決意があるのだから、私のひとことが彼らの背中を押すことも当然ある。
ブラックアジアがきっかけで大学をやめて海外の売春地帯に入り浸る生活をするようになった人もいるし、タイやカンボジアの売春地帯にハマるようになった人もいるし、私が紹介した場所で襲われた人もいるし、エイズになってしまったと連絡をくれた読者もいる。
また、ブラックアジアがきっかけでセックス産業で働いたり、売春ビジネスに足を踏み入れた女性読者もいる。「性」が絡む記事は、読み手もまた自分の中にある「性」を顕在化させる作用があって、それが行動を促すのである。
ただ、ブラックアジアを読んだからと言って、誰もが売春やセックス産業に足を突っ込むわけではない。そのような世界があったとはしても、きちんと一線を引いて関わらないようにしてる人もいれば、足を踏み入れたいと思っても逡巡したまま何もしない人もいる。
売春地帯はセックス産業に関心を持ち、そこに踏み入りたいと思っている人でも、大きなためらいがあって結局は「参入しない」人は大勢いる。何が彼らを逡巡させているのか。
ブラックアジアの読者が、売春地帯やセックス産業に足を踏み入れない大きな理由は、もちろん「道徳」ではない。彼らを逡巡させているもののうち、大きなウェイトを占めているのは何だったのか。