子供に「子供向け」のものばかり与えていると、子供は精神的にも成長することができない。
たとえば、子供向けのテレビやアニメ番組は、正義の味方やヒーローが出てきて、超人的な力で悪をバタバタなぎたおすのが定番になっている。しかし、現実はそうではない。誰も超人的な力など持っていない。
現実では、往々にして悪人がのさばり、善人が打ちのめされている。正義の味方など、どこからもやって来ない。あちこちからやって来るのは詐欺師だけだ。
優しい、気の良い人間が報われるわけではない。悪人が懲罰されるわけでもない。その逆に、悪人がちやほやされ、善人が嘲笑される。
努力も必ずしも報われるわけではない。親から財産や人脈を世襲した人間が楽して頂点に立ち、何も持たない人間は底辺でもがいて苦しむのが一般的な姿だ。
悪いことをしたら捕まるどころか、金持ちになることすらもある。子供用コンテンツの真逆の世界が現実世界で展開されているのである。(鈴木傾城)