人から人へと感染していくタチの悪い伝染病は、いずれ日本にも入ってくる。
現代はグローバル化した社会であり、人間は国をまたがって移動しており、他国で起きている伝染病が自国に入ってこないという保証は一切ない。
特に、潜伏期間が存在する伝染病は、潜伏している間は症状が出ないので、検査そのものに意味がないことも多い。空港で精密検査をするわけではないので、空港で検査して異常がなければ、入国を拒むわけにはいかない。
人は往々にして「自分は大丈夫」だと考えるので、旅の途中で発熱しても、それが伝染病だとすぐに直感する人はいない。
かくして、潜伏期間が終わって症状が出ている人があちこち歩き回って人と接触し、伝染病が広がることになる。
いったん伝染病が発生すると、感染者のまわりの人たちが最初に感染していく。いわゆるアウトブレイクが起きる。ある限定された地区で感染症が広がるのである。