海に捨てられたゴミはどこにいくのか。それはあなたの口の中である

海に捨てられたゴミはどこにいくのか。それはあなたの口の中である

日本海側では凄まじいゴミが中国・韓国・北朝鮮・ロシアから流れ着いて問題になっている。その多くはプラスチック製のゴミなのだが、冬季になると凄まじくゴミの量が増える。海流に乗ってゴミが辿り着くのだ。

環境庁の出している資料『平成28年度廃ポリタンク漂着状況』を見ると、最も東アジアからのゴミ被害に遭っているのは、次の県だ。

新潟県、石川県、島根県、山口県、長崎県、鹿児島県。

どこからゴミが流れてきているのか。そのほとんどは「韓国語表記」であると環境庁は簡潔に記している。

このゴミ被害は年々拡大化する一方で、2018年3月には、島根県や鳥取県の海岸でなんと2300個以上のポリタンクが漂着していることが分かった。

強い酸性の液体が入ったものもあり、「発見したら触らないで警察や消防署に連絡するように」という騒ぎになった。これは韓国の海苔メーカーが捨てていることが分かっているのだが、日本のマスコミはなぜか責任追及はしていない。

北朝鮮からはゴミどころかボロボロの木造船で遺体までが流れ着いている始末だが、とにかく日本海側にはいろんなものが流れ着いている。(鈴木傾城)

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

ゴミに埋もれて砂浜をまともに歩けないような状態

最近、タイではパタヤ沖のラーン島やプーケットで、あまりにもプラスチックゴミ(主にペットボトルのゴミ)が大量投棄されて、ゴミ拾いが追いつかなくなってしまって問題になっている。

海岸によっては、もはやゴミに埋もれて砂浜をまともに歩けないような状態のところもある。

その上に、パタヤではホテルが汚水をそのまま海に垂れ流してビーチが汚染されている。観光客がそれを写真に撮ってSNSに載せたことから、やっとタイ当局は「問題だ」と動き出してホテルに罰金を課すことにした。

これは2018年5月のことである。汚水がビーチに垂れ流しにされているのは、実は数年前から観光客は誰でも知っていることだが、タイ当局は国際的に問題になるまで放置していた。

問題があっても、大騒ぎされるまで放置しておくという当局の対応がよく分かる事件でもあった。

こうしたビーチのゴミ問題は今に始まったことではなく、2017年にはフワヒンのビーチに100トン以上ものゴミが流れ着いて、観光地として壊滅状態になったこともある。

海流の流れが変わってフワヒンにゴミが流れ着いたのだが、逆に言うと海流の流れがそのままであったら100トンのゴミはずっと海を漂っていたということになる。

タイランド湾もアンダマン海も、ペットボトルを主としたプラスチックゴミが凄まじく漂流していて、海洋生物がそれを食べたり飲み込んだりして次々と死んでいる。

死んだアオウミガメの胃を切除すると、プラスチックのゴミが大量に出てきている。サンゴ礁もプラスチックゴミで次々と死滅している。

それだけでなく、マイクロプラスチックと呼ばれる微細なプラスチックゴミが魚介類の体内に入り込んで、それが巡り巡って人間の身体にも取り込まれるようになってしまっている。

今や、プラスチックゴミがない海は存在しない。太平洋のど真ん中の人が住まない無人島ですらもその海岸はプラスチックのゴミで埋もれている。

プラスチックのゴミのせいで環境破壊が起きている

2018年6月8日、世界自然保護基金は「地中海がプラスチックの海になってしまう」という報告を公表した。

地中海に漂う廃棄物および海岸の廃棄物の95%はプラスチックだとして、「地中海は世界で最もプラスチック汚染の影響を受けている海域であり、このままでは人体への影響も懸念される」と警鐘を鳴らしている。

地中海の海が美しいというのはすでに過去の話であり、今ではゴミまみれなのである。

東南アジアのビーチはどこも美しいのだが、それでもプラスチックゴミが漂流しているのは船を乗ればすぐに分かる。フィリピンでも私はサバン島に行くのに船に乗ったが、海には到るところにプラスチックのゴミが漂流しているのを確認している。

シンガポールからバタム島やビンタン島に入る過程でも、やはりプラスチックのゴミがところどころに漂流しているのが見えた。一見、美しい海なのだが、よく見るとプラスチックゴミが浮かんでいるのである。

ビンタン島では観光客が辿り着く岸はとても美しくて感激するのだが、地元の人たちが使っている波止場に行くとペットボトルのゴミ捨て場のような惨状になっていた。

観光客に見せる側はきれいなのだが、どうでもいいところはゴミ捨て場のような海になっているのを見て、これが「観光地の実態なのか」と息を飲んだのだった。

海はつながっている。だから、どこかでプラスチックのゴミを捨てたら、それは分解されずにいつまでもどこまでも漂流し、沈殿し、海の中に残るのだ。

そして、今や世界の海はこのプラスチックのゴミのせいで環境破壊が起きており、人類は決断を迫られている。

このまま、プラスチックのゴミを出し続けて海をゴミにしてしまうか、それとも何らかの対策を取るべきか……。

ゴミは、巡り巡って自分の口に入ると考えるべきだ

母なる海をゴミ捨て場にしてしまうのは、誰にとっても本望ではないはずだ。だから、最もコストがかからない解決方法は「ゴミを海に捨てない」「リサイクルする」という行為を徹底することだ。

つまり、全人類のひとりひとりがモラルを持てば、ゴミ問題はたちまちのうちに解決する。

ところが、問題はそう簡単に解決しない。途上国ではゴミ問題に目覚めて自分だけはモラルを守ろうと思っても、非常に難しいものがある。

行政やインフラがしっかりしていないので、溢れるゴミを持っていってくれないのである。そのため、どこかに出されたゴミはそのまま積み上げられることになる。

たまに持っていっても、きちんとすべてを持っていくような律儀さもないので、適当に取りこぼしたまま去っていき、ゴミが堆積する。到るところでそのような状態になり、ゴミが飛んで街がゴミだらけになる。

私がインド・コルカタで潜り込んだスラムもそうした状態になっていて、どこを歩いてもビニール袋のゴミやプラスチックのゴミや生ゴミが散乱していて、スラム内はゴミの臭いだった。

行政が処理しない以上、溢れるゴミは解決できない。川があれば、人々はゴミを川に流して忘れようと思うし、海があれば、やはり海に捨てて忘れようと思う。

広大な海にペットボトル1つを捨てても問題ないように見える。実際、ペットボトルを海に捨てても海が急激に汚染されるわけではない。だから、いつしか海にゴミを捨てることに人々は不感症になる。モラルでは解決しない。

そうであれば、政府が厳しい罰金と指導で解決する方法もあるのだが、「誰も見ていなければいいではないか」と考えていると、やはり解決しない。

モラルや規制で何ともならないのであれば、プラスチックを使わない生活か、もしくはプラスチックを分解する技術革新か、プラスチックに変わる製品を発明するしかないのだが、それが追いついていないので問題になっている。

人類はこの堂々巡りの中で悲惨な方向に向かっている。

全体的に見れば最悪を止められないのだが、それでもできるのは自分たちひとりひとりが問題意識を持って環境を守っていくことしかない。無力かもしれないが、それしか方法はない。

捨てられているゴミを見たら、それが巡り巡って自分の口に入ると考えなければならない。

たとえば、日本人の好きなマグロも体内に含んだマイクロプラスチックの汚染濃度はトップクラスである。捨てられたプラスチックのゴミは海で細かくなり、微生物の身体に取り入れられ、小魚がその微生物を食べ、マグロがその小魚を食べて体内に凝縮されていくからだ。

そして、最後に私たちがマグロを食べる。海に捨てられたゴミは結局私たちの口に入っている。魚を食べているのか? いや、ゴミを食べていたのだ。海に捨てられた、あのプラスチックのゴミを……。

 

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