関西の暗部「飛田新地」も、いつまでも存在できるわけではない理由とは

関西の暗部「飛田新地」も、いつまでも存在できるわけではない理由とは

大阪には、飛田新地、松島新地、今里新地、信太山新地、滝井新地……といくつもの「ちょんの間」が生き残っている。さらに尼崎にも、かんなみ新地が生き残っている。

この6つの新地を関西人は「6大新地」と呼んでいるのだが、実は、私は滝井新地を除いた5つの新地にはすべて足を運んで見てきている。

関東は町田の通称「田んぼ」や横浜の「黄金町」があったのだが、すでに2005年には壊滅した。いくつもの「ちょんの間」が生き残っている関西の特異性には驚くばかりだ。

なぜ関東の「ちょんの間」が絶滅して関西の「ちょんの間」が生き残ったのかは、日本のハイエナたちの間で議論があるのだが、私は「関東のちょんの間の主力は外国人女性で、関西のちょんの間の主力は日本人女性だったから」と理解している。

私が最も愛していたのは町田だった。なぜか。そこが東南アジア女性の巣窟だったからだ。

町田の「ちょんの間」がどのようなところだったのかは小説『グッドナイト・アイリーン』で書いた。この小説は、町田の「ちょんの間」を舞台にした日本唯一の小説だ。

描写のすべては想像ではなくリアルである。「ちょんの間」をうろうろしている胡散臭い主人公の男は誰がモデルなのかは分からないが……。(アマゾン:電子書籍『グッドナイト・アイリーン=鈴木傾城』

関東は「外国人女性がいた」ということが致命傷に

横浜の黄金町は距離的に遠かったのでまったくと言ってもいいほど行かなかったが、こちらは東南アジアの女性の他に南米系の女たちも大勢いた。

そのため、東南アジア女性よりも南米系の女性が好きな男たちは足しげく黄金町に向かっていた。

しかし、町田も黄金町も「外国人女性がいた」ということが致命傷になって摘発・閉鎖を余儀なくされている。このあたりの事情はこちらに詳しく書いた。(ブラックアジア:日本の赤線地帯「黄金町」は、なぜ2005年に潰されたのか?

関西はまるっきり無傷で生き残ったのだが、飛田新地などを歩くと、本当に異世界のようになっていて驚くばかりだ。飛田新地は組合がしっかり管理しており、ちょんの間の経営も警察が経営者に届け出をさせている。

そのため「飛田新地はヤクザが入り込めない」としたり顔で言う人もいた。「ヤクザが入り込めないから逆に飛田はずっと生き残ってこれたのだ」

ところが、最近は事情が変わってきているのかもしれない。2018年5月17日、大阪府警捜査4課が売春防止法違反容疑で山口組直系「極心連合会」の幹部を逮捕したことがニュースになった。ヤクザは「入り込んでいた」のである。

ただし、このヤクザの幹部は自分の名前を出さず「内縁の妻」に経営させて利益を吸い上げていたので、表向きにはヤクザ経営であると言うのは分からなかった。

さらに同日、府警生活安全特捜隊が松島新地でもヤクザ経営の店を摘発して経営者を逮捕している。

ヤクザが入り込んでいるのであれば、警察はどんどん新地を締め上げていくだろう。これが新地摘発の序章なのか、それとも単発の事件なのかはまだ分からない。

私はこの事件とは別に、警察がそろそろ関西の6大新地を摘発に動いても不思議ではないと思っている。

なぜか……。

 

◆かつて巨大遊郭地帯だった大阪「松島新地」を歩いてみた

日本は女性の人権をないがしろにしている?

なぜ、警察はそろそろ動いてもおかしくないと私は感じているのか。

それは、飛田新地も外国人の客が押し寄せるようになっており、そこが日本の暗部(アンダーグラウンド)として紹介されるようになっているからだ。(ブラックアジア:写真禁止と言っても、どんどん流出していく飛田新地の夜

政府当局はこうした存在が国内でひっそりと知られているだけであれば黙認するのだが、世界に広く知られるようになると急いで潰す。

なぜなら、日本は常に外国から「売春問題」で非難されてきた歴史があるからだ。

かつて日本は北海道から九州まで「巨大遊郭」があちこちに存在しており、そこで貧しい女性たちが抜けられない性の地獄に堕ちていた。

まさか北海道に遊郭があったのかと驚くが、北海道は室蘭の遊郭が有名で曽根富美子氏はこれを『親なるもの断崖』と言うマンガで書き記している。

遊郭の女たちの悲哀を描いたとても迫力のあるマンガだ。私の解説はこちらに書いた。(ブラックアジア:『親なるもの断崖』遊郭に沈んだ女性たちを描いた物語

淋病や梅毒も治る病気ではなかったので性病が蔓延し、遊郭の女性たちの末路は悲惨だった。

そこで、「日本は女性の人権をないがしろにしている」「日本は人身売買国家だ」「日本は淫売国家だ」と国外から攻撃されて、日本は非難轟々の中で遊郭の閉鎖を決めていた。

2000年代初頭の関東のちょんの間摘発もまたアメリカから「日本は人身売買国家だ」と名指しで糾弾されて、驚いて摘発に向かったものである。

 

◆『親なるもの断崖』遊郭に沈んだ女性たちを描いた物語

外国から指摘されることに神経質になっている

もっとも、アメリカが問題にしていたのは、フィリピン女性が日本の「YAKUZA」に騙されて日本国内で売春させられているという部分が本筋だった。

フィリピン女性は1980年代の後半に日本がバブルに突入した頃から大量になだれ込んできて、日本の歓楽街を席巻した。

その多くは興行ビザで「タレント」として日本に連れてこられていた。

歌手やダンサーとして日本で働くというのが表側の理由だったのだが、実際にはフィリピン・パブで働いて男と一緒に酒を飲み、たまにカラオケで何かを歌うのが本職だった。

そして、ヤクザ経営のフィリピン・パブではしばしば女性たちがパスポートを取り上げられ、監禁され、売春が強制させられていたのだった。

彼女たちは被害を英語で訴え、アメリカのジャーナリストも好んで「YAKUZA」のあこぎなビジネスを糾弾し、それはアメリカ政府の耳にも届いていた。

それを指して「日本は人身売買国家だ」とアメリカに批判されたのだ。

指摘を受けて日本政府はフィリピン女性の興行ビザを出さなくなり、フィリピン・パブは壊滅状態になった。

「ちょんの間」はとばっちりであったのだが、それでも日本政府は外国人女性がいるちょんの間を強権で潰して消した。どのみち、この形態の売春ビジネスも世界に知られれば糾弾されるのは間違いないからだ。

こうした経緯もあって、日本政府は今も「売春を野放しにしている」と外国から指摘されることに神経質になっている。

だから、飛田新地が外国人の男たちに存在が知られるようになり、そこに群がるようになっているのであれば、摘発して潰すことになっても不思議ではないのだ。

日本政府がそこまで考えているのか、ただ単にヤクザの金の流れを追っていたら「ちょんの間」のビジネスが出てきただけなのかはまだ分からない。

国内のハイエナは注視するに値する出来事であると言える。

売春地帯は政府の意向ひとつでいつでも歴史の闇に消される存在である。それは、あちこちの売春地帯をさまよい歩いてきた男が一番よく知っている。

 

関西の闇「飛田新地」。売春地帯は政府の意向ひとつでいつでも歴史の闇に消される存在である。それは、あちこちの売春地帯をさまよい歩いてきた男が一番よく知っている。

 

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