2024年11月26日の午後3時過ぎ、札幌市中央区南5条西3丁目にあるススキノ交差点から約50メートル南の雑居ビルの2階で、突如として爆発とともに炎が噴き出し、そのビルの2階に入るガールズバーが一瞬にして地獄絵図と化した。
このガールズバー『ミリオン』は、カウンター越しに女性が接客をおこなう飲食店で、女性たちはバニーガール姿の従業員で知られる人気店でもあった。
炎上したビルから路上に逃げ出した人々の中には、衣服が燃え上がった状態で叫び声をあげる者もいた。その姿を見た通行人たちは、持ち寄ったコートや水を使い必死で炎を消しとめたという。
現場では赤い布のようなものが爆風によって宙に舞い、あたり一帯は焦げくさい煙に覆われた。消防車23台が出動する事態に至ったことからも、火災の規模の大きさがうかがえる。
火災のきっかけは、41歳の男がバケツに入れたガソリンのような液体を店内にまき散らし、ライターで着火したことによる意図的な「放火」だった。この男は現在も意識不明の重体なのだが、ほかに店内にいた20代の女性従業員や30代・50代の男性客が重傷を負った。
事件の背景に浮かび上がるのは、この男性と女性従業員との交際トラブルである。
女性従業員は事件前から「別れ話で彼氏が暴れた」と警察に相談していた。警察は男性に口頭で注意を与え、2人を引き離す措置を講じたが、結果として悲劇を防ぐことはできなかった。
男性のSNSには、「楽しいことするよ」と犯行を示唆するような投稿がなされており、これが火災発生の9分前のものだったことがあきらかになった。その前にも女性に対して「会いたい会いたい会いたい…」「死にたくない」などのメッセージを何度も送信して粘着的なストーカー気質を丸出しにして女性を恐怖に陥れていた。