今日、ふたつの記事を読んだ。ひとつはアスファルトで死んでいくカマキリの記事で、もうひとつはホストに貢ぎ、路上に立って客待ちをするようになった女性の記事であった。まったく違う世界の記事だが、内容は似てると思った。どちらも操られる存在の記事だったのだ。(鈴木傾城)
寄生虫の意図に従って行動するカマキリ
今日、ふたつの記事を読んだ。ひとつはアスファルトで死んでいくカマキリの記事で、もうひとつはホストに貢ぎ、路上に立って客待ちをするようになった女性の記事であった。まったく違う世界の記事だが、内容は似てると思って興味深かった。
アスファルトの道路で死んでいくカマキリ。なぜ、カマキリがアスファルトに歩き出して死んでいくのか、今までは謎だったらしい。しかし、最近になってその理由がわかったようだ。
カマキリはその死の瞬間まで、寄生虫であるハリガネムシに操られ続けていた。
ハリガネムシはまず水中で孵化し、幼虫の段階で水生昆虫に寄生する。カマキリがこれを捕食すると、その体内で成長を遂げ、最終的にカマキリの行動を支配し、水へ誘導する。
これは単なる生物学的な偶然ではなく、綿密に計算された寄生虫の生存戦略だ。川や池に飛び込んだカマキリは死ぬが、すると体内からハリガネムシが出てきて産卵ができるようになる。
寄生されたカマキリは、通常の意識や行動とは異なり、完全にハリガネムシの意図に従って行動する。
京都大学の研究によると、この行動は「水平偏光」という光の性質に基づいており、アスファルトや水辺に多く含まれる特定の光の反射に引き寄せられるとされる。感染したカマキリは、舗装されたアスファルトを水と勘違いしていたのだという。
この記事のあとに、歌舞伎町のホストに貢がされ、ストリート売春を強制されていた女性の記事を読んだ。女性は、ホストに命じられるがまま数百万円を貢ぎ、カネがなくなったら路上に立たされていた。彼女はホストに操られて人生が破綻していた。
それが、ハリガネムシに操られて自滅するカマキリのように見えた。
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最後は見捨てられる。ゴミのように
寄生されたカマキリの最期には、なんともいえない虚しさがある。自らの命を奪う行動を取らされているにもかかわらず、カマキリには選択肢がない。自分を操られているのだから、もはやそれは自分であって自分でないともいえる。
ホストに命じられるがまま貢ぐ女性もそうなのだ。無意識に他人の支配下に置かれて、他人のためのATMと化している。自己の存在や意思を抑圧され、ただ相手の意図に沿って動く。そういう人生は、極めて虚しく見える。
男女関係においては、感情的に依存する側が相手の意向に振り回され、自らの価値観や目標を見失ってしまうケースがある。ホストに操られる女性はまさにそうだ。
外側から見れば、かなり虐待的な関係であるように見えても、操られている女性はホストに対する依存から抜け出せない。
感情を操られ、ホストの言動に従うことで精神的・肉体的な被害をこうむることになる。まさに、人生を寄生された状態なのだ。自己の判断や価値観が奪われ、意識的にも無意識的にも操られ続ける。
ハリガネムシに支配されたカマキリのように、ホストの支配から抜け出すことができない女性は、まるで「生きる屍」のように、最終的に自滅するまで操られる。自滅したら、もちろん見捨てられる。ゴミのように……。
彼女にも人生の目標や目指す幸せがあっただろう。だが、ホストに操られることで人生の目標や意義が失われ、なんの実りも見出せないまま、カネだけを奪われて自滅していく。
自分の人生を他者に支配され、自分の意思が消えてしまう人生は、結果として「自滅」という悲劇につながる。カマキリと同じく、悲惨な結末を迎えるだけなのだ。自滅しても、世間からは「ホストに貢ぐほうが悪い」と罵られるだけだ。
そうやって、女性の人生が終わっていく。
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カネをむしり取られる人生には何の意味もない
他者に操られて生きる人生には、得るものがない。ただただ都合良く奉仕させられ、搾取され、収奪されるだけなのだ。そんな人生で得られるものなど、あるわけがない。あるとしたら絶望だけだ。
カマキリは、無意識に水辺やアスファルトに誘導されているのだが、それはカマキリにとってまったく何の意味がない。ホストに騙されてカネをむしり取られる女性も、それは彼女に人生には何の意味もない。
そこには、もちろん自己成長もない。自立さえも奪われる。他者の意向に合わせることが長く習慣化すればするほど、人は自己の判断力を失い、ただ状況に流されるだけの存在になる。
こうした、いびつな関係に堕ちてしまった女性は、ホストの存在がなければ自己のアイデンティティを維持できない状態にさえ陥る。ホストが離れそうになったり、邪険にされたりすると、女性は自らの存在意義さえ見失う気持ちになる。
これはまさに、操られたカマキリが最終的に死に至るプロセスと同じである。自己の価値や目標を忘れ、ホストに操られるばかりの人生には、何の成果もない。操られる立場にある人間は、結果として捨てられるだけだ。
良いように利用されているのだ。
はたから見ると、どうして操られてしまうのか、と思ってしまうかもしれない。もちろん、操られる理由は彼女側にもあったのだ。自己評価が低い女性は、自分を認めてくれる相手に強く依存しやすく、ホストの巧妙な褒め言葉や肯定に心が動かされることが多い。
ストレスフルな日常から一時的に解放されたいと感じる女性も、非日常的なホストクラブは理想化された逃避先となりやすい。「自分が支えることで彼を変えられるかもしれない」と感じて深みにハマる女性もいる。
一度でも大きな出費をしてホストに喜ばれた経験があると、それが自己承認の手段となり、繰り返してしまう心の動きもある。そうした女性の心理を極限までマニュアル化して、騙すことに精力をかけているのがホストクラブなのだ。
いちいち騙されていたらキリがない
こうやって操られた女性は、まわりが何をいっても正常な世界に戻ってこられなくなる。だいたいは、骨の髄までしゃぶられ尽くす。それは、カルト教団の信者が、狂信的に教祖を信じる姿と相通じるものがある。
そのような状況に陥った女性たちは、ホストの言葉や振る舞いが絶対的な真実であるかのように信じ込み、次第に理性を失っていく。
周囲から見ればあきらかに搾取をされている状態である。だが、彼女たちにとっては「本物の愛情」や「自分だけが彼を支えられる」という特別な使命感として錯覚を抱いているのだ。
ホストからの上っ面な愛情の表現や、計算された打算的な優しい言葉が、渇望する承認欲求を一時的に満たし、さらに深い依存へと引きずり込んでいく。
その過程では金銭面や人間関係に多大な犠牲が生じるが、本人にはそれがまるで「越えなければならない試練」かのように感じられ、ますます献身的・隷属的な行動に拍車がかかる。
彼女たちは、ホストに尽くし続けることこそが、自らの価値であるかのように思い込んで、操られるがままになっていくのだ。
自分で考え、自らの意思で行動することは、生きるうえで不可欠なことだ。他者の意向に盲従する人生は、自らの成長を阻害し、無意識のうちに自滅への道を進むことになる。
操られるようになってから脱するのでは遅い。最初から他人に操られないように、自分の意見や価値観をしっかり持つ必要がある。学校では「きれい事」しか教えないが、世の中は邪悪であふれていることを知っておく必要がある。
本来、人間は自己の意思で行動する力が備わっている。操られることの虚しさから解放され、自らの道を歩むことこそが、生きる上での本質的な意味である。あこぎなビジネス・組織・団体はありとあらゆるところに存在する。
いちいち騙されてカネを奪われていたらキリがない。自分の人生を操ろうとする存在は世の中にはおびただしく存在する。邪悪な存在に搾取されないように、うまく立ち回れるようになってほしいと願っている。
ホルモン避妊薬(ピル)はウツになりやすく、異性の好みも変わってしまう、とイーロン・マスクが言っているのを聞いたことがあります。
ホストクラブの売掛金を払おうとする女性たちが、立ちんぼをするためにホルモン避妊薬を飲んでいたとしたら、適切な判断がますます低下し、さらなる泥沼にハマってしまうとも思いました。
わたしも生理痛を軽くするためにホルモン避妊薬を服用していたときは、精神的にキツかったり、ホストクラブへは行きませんが、悪い男たちがキラキラして見えることは確かにありました…
思い返すとあれは薬の悪影響だったはずなので恐ろしいです。
いまは食生活を大きく見直し生理痛軽減に成功しています。
全ての女性は、事情があってホルモン避妊薬を服用するときは、ウツや異性の好みの変化があることに、十分注意してほしいです。
ホスト依存の方たちにおいては、依存症状がもっとひどくなることが明白なのも知っておいてほしいと思いました。
興味深いコメント、ありがとうございます。
ハマってしまう気持ちはわからなくもないかな。
小さい頃から親との関係に問題があって極度に自信がなかったり精神疾患とか抱えて生きづらさを感じていると人一倍疲れやすくてどこかに心に拠り所を求めてしまうんだよね。
そこにいる間は嫌な自分を忘れていられるような集中できるものが欲しくなるというか。
自分はああいうきらびやかな男性は苦手なのでハマらないだけで。
100%騙されない自信はないので関わらないようにしています。やっぱろくな事ないからね…。
名古屋在住ですが錦の辺りは昔から多いですよ。