![](https://blackasia.net/wp-content/uploads/2024/11/eye-catch-4-700x525-1.jpg)
プラス思考は得体の知れないカルト宗教のように広がっていき、それを信じる人間がカルト教団の信者のようにプラス思考を礼賛するようになった。プラス思考を持つのは心地良い。夢に浸れる。だが、プラス思考は成功を約束するものではない。現実に粉砕される。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com
世の中は運・不運も大きく影響してくる
プラス思考を持ったら、人生何でもうまくいくと思っている人もいるかもしれない。はっきり言おう。それは、誤解か、誇張か、嘘である。プラス思考だけでは、何でもうまくいくわけではない。
世の中は運や不運も大きく影響してくるし、生きている場所・時代・環境によっても運命は大きく違ってくる。
1980年代に社会に出た人は日本のバブルの真っ最中で、私のようなプラス思考のかけらも持ち合わせていない人間でも濡れ手に粟で金を儲けることができた。ところが、1990年代に社会に出た人はどうだったのか。
彼らはバブル崩壊のまっただ中に社会に放り出され、どんなプラス思考の塊の人であっても就職氷河期に巻き込まれ、非正規雇用だった人は貧困一直線と化した。プラス思考は時代に勝てなかった。
現在もそうだ。非正規雇用者はどんなにプラス思考を持ったところで、それだけで人生が打開できるわけではない。自殺者も増え続けている。中高年の男性だけでなく、女性の自殺も増えている。
「プラス思考などを持っても成功できない」という事実は、ニューヨーク大学で心理学教授をしていたガブリエル・エッティンゲン教授がすでにいくつもの実験を通して1991年に結論を出している。
エッティンゲン教授はプラス思考で成功できるどころか、場合によっては成功すらも遠ざける危険性があるということも指摘している。プラス思考で夢を見ると「人は頭の中でそれを達成し、現実世界の逆境を乗り越える行動力が低下する」というのだ。
つまり、空想で満足して行動力が鈍る。空想にエネルギーを使っていると、現実世界にエネルギーを使う余裕がなくなる人が多い。いくらプラス思考でも現実世界で行動できなければ何もならない。
プラス思考で空想の世界に浸っていて現実で成功できるのであれば、都合の良いことばかり考えて何もしない怠け者がもっとも成功するということになる。世の中はそうなっていない。
インドの貧困層の女性たちを扱った『絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち』の復刻版はこちらから
プラス思考は現実に粉砕される
当たり前だが、ひとつのことをとことん考え抜き、集中し、誠実に努力し、着実に行動している現実的な人が成功するのであって、適当に空想して行動もしない人間がいくらプラス思考を持っても成功しない。
だが、欧米でも日本でもそうだが、このプラス思考(欧米ではポジティブ・シンキング)は成功者になるための必須の心がけだと信じられている。そのため、エッティンゲン教授の実験データや検証や結論は闇にかき消された。
逆にプラス思考のほうは、得体の知れないカルト宗教のように広がっていき、それを信じる人間がカルト教団の信者のようにプラス思考を礼賛するようになった。
プラス思考を持つのは心地良い。夢に浸れる。「成功を空想したら成功できる」というのだから、心地良い夢に浸りきってしばし幸せな気分になれる。しかし、プラス思考は成功を約束するものではない。現実に粉砕される。
たとえば、プラス思考でいえば南米(ラテンアメリカ)の人々は、類を見ないプラス思考の人々だが、それで南米人は世界最大の成功者になったのかといえばそうでもない。南米の多くの国は経済破綻し、国民は極貧に落ちて、なす術がない。
東南アジアではフィリピンのラテン気質が有名だ。彼らはどんなことがあっても「プラス」に考える癖がある。それでフィリピンはうまく回っているのか。いや、やはりフィリピンは経済的苦境を乗り越えられていない。
日本では奇しくもエッティンゲン教授が「プラス思考は効果がない」という結論を出した1990年代から、プラス思考ブームが始まっている。それで日本人は幸せになったのか。逆だ。プラス思考が広がるのと同時に、貧困も広がっていた。
日本は1990年代からバブル崩壊で多くの企業や個人が未曾有の資産縮小に見舞われ、自殺者が毎年3万人を超える時代に突入していった。バブル崩壊という時代の荒波の中で、プラス思考の流行が日本を良くしたという形跡はまったくない。
時代の荒波が人々の夢や希望をいとも簡単に叩きつぶすという現実ばかりが見える。今もそうだ。
1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから
つらい現実を忘れさせるための現実逃避
宝くじに当たった人は目立つが、その陰に数千万人もの外れた人が隠されている。それと同じように、プラス思考で成功した人は目立つが、その陰にプラス思考でも成功できなかった数千万人が隠されている。
SNSなどで能天気なプラス思考を吹聴している「インフルエンサー」に騙されている人も多いが、彼らはプラス思考を説いて人々に妄想を見させながら、自分がせっせと金儲けしているだけだ。
プラス思考で成功するというのは、一種の妄想だ。宝くじのようなもので、ほとんど当たらないものを当たるといって盲信させている。今もまだこんなものにすがっている日本人もいる。
馬鹿げた話だ。日本社会の苦境はますます深まっていき、生存環境はいよいよ厳しくなっている。日本社会を劣化させる元凶である少子高齢化も放置されている。
若年層は非正規雇用に追いやられ、単身女性は3人に1人が貧困で、中高年は年収の低下やリストラに怯え、高齢層は生活破綻して次々と生活保護受給者となっている。それが今の日本の「現実」なのだ。
プラス思考を信じたところで、そんなものよりも現実が深刻化しすぎており、いくらプラス思考を持っても失敗する確率のほうが高まっている。現実も見ないでプラス思考をしても、大半の人には何の魔術も起きない。
「良いことを思えば良いことが起きる」みたいな下らないプラス思考を持っても、それだけではなんともならない。
結局、プラス思考というのは「つらい現実を忘れさせるための現実逃避くらいの役割しかないのではないか」と少数のまともな日本人は気づくようになった。いくらプラス思考をしてもビジネスはかならずしも成功しないし、金持ちになれない。
これだけプラス思考を説く書籍が売れ、インフルエンサーが馬鹿みたいな楽観論を説いているのに、日本人はどんどん貧しくなっているし、社会は悪化していく一方となっているし、自殺者がどんどん増えている。
プラス思考をしてもままならないほどの厳しい現実がある。
デリヘル嬢の多くは普通の女性だった。特殊な女性ではなかった。それは何を意味しているのか……。電子書籍『デリヘル嬢と会う:あなたのよく知っている人かも知れない』はこちらから。
プラス思考と成功はリンクしていない
プラス思考で成功した少数に焦点を当てれば、プラス思考は素晴らしいもののように見える。だが、プラス思考でも成功できなかった莫大な人々の群れの存在に気づけば、プラス思考は、べつの側面が見えてくるはずだ。
プラス思考が好きなら、それを取り入れても害はない。それは個人の趣味だ。問題は、それが成功とリンクしているわけではないことだ。プラス思考をしても成功できない人間たちの群れを見て、一刻も早くそこに気づく必要がある。
プラス思考がなくても、成功する人は成功する。プラス思考があっても、失敗する人は失敗する。プラス思考という「気の持ちよう」以前に、頭脳や努力や執念や行動力が重要であり、さらにそこに運があるかどうかも絡んでくる。
現実社会での成功は、プラス思考よりも、むしろ頭脳や執念や行動力で決まる確率のほうが高い。特に、現実が厳しくなればなるほどその傾向は強まる。
厳しい現実に震え上がりながら努力する人のほうが、プラス思考の空想しているだけで何もしない人より生き残る確率が高い。そんなことは、常識がある人なら誰でもわかる。
日本は少子高齢化も人口減も解決できなかった国である。政治家も驚くほど無能だ。そのため、日本の社会環境は今後もじわじわと悪化していくことになる。足元はけっして安定していない。
格差、貧困、治安悪化、対立、衝突、暴力、憎悪、無関心……。
ありとあらゆるものが一気に押し寄せてきているのが今の時代であり、今の現状なのだ。そんな厳しい時代で生き残るのに重要なのは、現実を直視して必死で努力し、もがき、その中で経験や実績を得て生きていくという泥くさいものであるはずだ。
地獄と化していく世界では、プラス思考はあまりにも無力だ。現実的で合理的な思考を持つほうがまだ役に立つ。
![ブラックアジア会員募集](https://blackasia.net/wp-content/uploads/2018/11/eye-3.jpg)
プラス思考(簡単、とくに技術もなし)
綿密な計画(市場調査等、調べる技術、人脈、交渉力、金も必要)
行動力 (ここが大変!、胆力、度胸、思い切り、根性、気合も必要)
軌道修正 (待てば良くなるか、修正すれば良くなるかの見極め)
の順番で実行が必要でしょうか?
いや、ホントに、プラス思考で物事が進むなら最高ですが、そんなに世の中上手くはありません
プラス思考で痩せるなら、私は一日中妄想(プラス思考)してスリムになってみたいです
プラス思考って商売のネタだと思います。
教祖を演じる詐欺師がプラス思考を説いて信者から金を取る商売です。
YouTubeのビジネス系インフルエンサーも詐欺師まがいがいっぱい。
あんなのに騙されるアホが多くて笑える。
いつの時代でもアホは湧くほどいるんで廃れないビジネスですねー。
最近啓発セミナーで高い参加料を取るあくどい商法があるようですが、半世紀位前はさすがにそう言ったセミナーは無く代わりにプラス思考を説く啓蒙書があり若かった私は買って真剣に読んだものです。
ナポレオン・ヒル著「思考は現実化する」とかC.M.ブリストル著「信念の魔術」とかでした。両者の本はいまだに売れているようですからかっての私のような方が多いのでしょう(笑)。確かにポジティブ思考は必要なのですが、夢を現実のものとする為にはさらなる努力や勉強が必要なのは言うまでもありません。驚いた事にナポレオン・ヒルの本はウイキを見ると嘘で固めていて有名人にインタビューはしていないと書かれています。
私は株式投資を始めて最初から97連勝しましたが、株で儲ける本の類は一切読まずこういう事をすると失敗するという本を読みました。いわく「証券会社の社員は証券会社から給料を貰っているので、貴方が証券会社のアドバイスに従って大損しても彼らは決して責任を取らない。」等と言うのは目から鱗が落ちた思いでした。バリュー投資に徹して手堅く儲ける事が資産を築く早道と必勝法を自ら考案した訳です。
一方で心理学者のユングの本に「シンクロニシティ」と言う言葉が出てきますが、私なりの解釈では意味のある偶然であったり私の企画を助けてくれる私が次々と現れるのです。
レンタカーでアメリカを横断したいと思いメンバーを募集していたら周りでは金も暇も無い方ばかりでしたが、旅行先のハワイで知り合った方達が参加してくれたり、夏休みのロサンゼルス着お盆明けのニューヨーク発のプラチナチケットを、バーで偶然隣のカウンターに座った女性が日本アメックスのエアーチケットを手配する方で格安で買えた事があったりです。
株式投資の先生で言えば、当時八重洲の立花証券のエレベータの中でたまたま一緒に乗り合わせただけの叔母さんが、如何にも株式投資のベテランと言う顔をしていたのでその場で指南を申し出たのですが、それが縁で親切丁寧に教えてくれました。厚かましいとは思いますが、チャンスは自分が積極的に出なければつかめないものです。当時は20代後半だったので、叔母さんから見れば私が可愛く見えたのでしょうね(笑)。
その方は後にスーパー叔母さんと私がひそかに呼ぶようになるほどの株の達人で、罫線の見方を伝授頂き後に大きく儲ける事が出来て老後も年金が3割カットされても贅沢をしなければ何とかなる程度の小金持ちに成れたましたが、エレベーターに乗り合わせた数十秒の間に声をかけなければ違う人生だったかもしれません。
ただひたすらに誰にも称賛されずとも
自分の信じる道を極めていこうとするしかないですが
それだと地味で退屈で目立たないのでほぼ皆しようとしないので
投資、学問、スポーツでも継続できる人が最終的に一番いい思いをするでしょう。
虎の狩りを真似したキツネが猟師に馬鹿にされたって言葉を聞いた。
ウサギとカメでも働き者のウサギと怠け者のカメが競争した事もある。
カメが競争で勝にはカメは泳げたのでショートカットに成功してウサギを出し抜いた等ぐらいしかない。
ウサギは途中で猟師やキツネに襲われたもあり得る。美味しいウサギの肉は狙われる。
成功後に本を出して結果論で人に伝えるけど、事実成功してるから詐欺じゃない。
世の中の難しい所でしょう。