◆危険なほど快楽が増すのだが、普通の人はここに到達しない方が幸せなのだろう

◆危険なほど快楽が増すのだが、普通の人はここに到達しない方が幸せなのだろう

2020年からのコロナ禍で歓楽街が死んだようになってから、私は真夜中にふらふらと歩く頻度が極度に減った。どのみち歌舞伎町などフラフラしても、かつてほど街を往く怪しい女たちは減っているし、面白いこともそれほど起こりそうもない。

海外も歓楽街・売春地帯は、ほとんどが閉鎖の憂き目に遭っていて、今もなお全盛期に比べるべくもない。

海外に行く人たちも減ったので、飛行機代は高くなっているし、まして2022年の今は原油価格の高騰もあってサーチャージ代もひどいことになっている。現地に着いても、物価高であらゆる値段が上がっているし、そこに円安が重なるわけで、無理して海外に行く気が失せる。

海外の貧困地帯をうろついて生きる私のようなライフスタイルは、コロナ禍で完全にとどめを刺されたと言ってもいいかもしれない。

タイの歓楽街を取り上げていた国外のハイエナたちのブログもことごとく閉鎖してしまっているし、コロナ禍が収束しない上に今度はサル痘まで出てきたので、私もすっかり気持ちがすぼんでしまった。

私と同じように東南アジアの裏側を行き来していた知り合いとも連絡を取り合っているのだが、この人も「コロナが終わったらパタヤでハメを外そうと思っていたけど、今はもうそういう気も自然消滅した。卒業だ」と言い出している。

「海外が駄目なら日本の夜をうろつけばいいではないか」と思う人もいるかもしれないが、東南アジアの歓楽街に沈没していたハイエナたちのほとんどは海外の歓楽街にいた時の熱量を国内に向けることができない。

私もそうなので、その理由はよく分かる……。海外の歓楽街と日本では世界があまりにも違い過ぎるのである。たとえば、私は日本ではほぼ歌舞伎町にしかうろつかなくなっているのだが、その歌舞伎町を歩いていても本気になれない自分がいる。

何が違うのだろう……。

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