フィリピン編
この世に「永遠のもの」などないのは、日本人が一番よく知っている。
日本人が長らく親しんできた平家物語では、冒頭から「諸行無常」だと言っていたではないか。
平家物語は「国の栄枯盛衰は当たり前に存在し、どんなに絶頂にある人もやがては春に見る夢のように淡く消えていく」と、教えてくれている。
かつて、アジアの歓楽街を席捲していた日本人も、日本という国家そのものが衰退するにつれて歯が抜けるように消えていく。
そして、「その先」に普通の日本人がまだ考えていない地獄が待っている。いったいどんな地獄なのか。
それは、1970年代から2000年代にアジアの売春地帯にいた男たちが一番よく知っている。目を閉じれば、彼らは日本の未来を見つめることができる。