アンダーグラウンドの世界では、エイズに対する恐怖は表社会の人たちには窺い知れないほど強いものがある。
売春ビジネスをしている女性たち、売春地帯、歓楽街の住民たちにとっては、エイズは「すぐ隣にいる死神」である。
エイズに罹った人たちが知り合いに増えるにつれ、その恐怖は押しとどめられなくなる。知り合いが次々とエイズに罹るということは、自分もいつかエイズに罹るというのと同じだ。
真夜中の住民たちは、どこかの時点で引き返すべきか、このまま突き進むべきかを選択しなければならなくなる。
貧しい境遇から売春地帯へと入った女性たちは、選択の余地がない。祈るだけだ。そして、祈りは届かないことも多く、多くの女性がエイズをうつされて発症する。
エイズはアフリカで未だに猛威を振るっているが、アジア圏ではインドやタイが汚染大国となっている。