無駄な消費が煽り立てられてるコマーシャル社会で生き残るのはどうするのか?

無駄な消費が煽り立てられてるコマーシャル社会で生き残るのはどうするのか?

私たちは「消費時代」に生きている。潜在意識にまでコマーシャルが刻み込まれ、忘れられなくなってしまうのだ。覚えようと必死になっていた勉強の内容は忘れても、覚えるつもりさえないテレビのコマーシャルなら思い出すことができる人は大勢いる。それが洗脳につながっていく。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

基本が徹底されることは、いつの時代でもないのが現実

私たちは「消費時代」に生きている。ほとんどのメディアはコマーシャルで成り立っているのだが、このコマーシャルというのは、私たちに「何かを買わせる」という目的がある。

コマーシャルは魅力的だ。コマーシャルは印象に残る。コマーシャルは執拗に繰り返される。そのため、私たちは長くコマーシャルに接していると、宣伝されているモノを買わずにおられなくなる。

潜在意識にまでコマーシャルが刻み込まれ、忘れられなくなってしまうのだ。覚えようと必死になっていた勉強の内容は忘れても、覚えるつもりさえないテレビのコマーシャルなら思い出すことができる人は大勢いる。

ところで、現代は資本主義が社会の隅々にまで覆い尽くしている。所有する金は多ければ多いほど良い。

では、何も持たない人間が「資産」と呼ぶべき金を持つには、どうすればいいのか。それは、「貯める」という基本的なことができていなければならない。

事業を興すとか、何らかの才能をマネタイズするとか、宝くじを買って祈るとか、何かのギャンブルでひと山当てるという方法もある。

しかし、それは必ずしも成功するものではないし、成功したとしても「貯める」という基本ができていなければ、手に入れたものは右から左へと消えていく。

生き残るには、基本は「貯める」ことにある。しかし、基本が徹底されることは、いつの時代でもない。

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基本中の基本は、面白味がなくて関心が続かない

人間は知っていることや単純なことや昔から言われていることは、「面白くない」ので関心を持たない。誰もが知っていることなので、それより何か別の奇策がないか考える。

しかし、時代が難しくなればなるほど、必要なのは奇策よりも基本なのだ。どんな難しい時代になっても、生き残ることができるたったひとつの基本。それは「貯金する」ということだ。

貯金する。無駄金は使わない。

こうした「当たり前」は、誰もが面白みがないと思っていたり、当たり前すぎてやる気がなかったり、地味すぎてつまらないと感じたり、古くさいと見向きもしない。

「じれったいし、時間もかかる」と嫌悪を持つ人すらもいる。

一方で、いつの時代でも、派手で、確信的で、珍奇で、話題があるものや、ギャンブル性のある「儲け話」の方は、華々しく喧伝され、人々はそういったものに飛びつく。

「金を使うな、貯金しろ」という当たり前は、誰も話題にすらしない。金をコツコツと貯めると聞いただけで人々はうんざりして逃げていき、逆に夢のある珍妙な儲け話には熱心に耳を傾ける。

「貯金はないのですが、どうすればいいですか」の答えは「コツコツ貯める」というものになる。ところが、その答えを聞いたら、誰もが「そんな当たり前のことは聞いてない」と言って逃げていく。

貯金のような退屈なことをするより、何か一攫千金の儲け話に乗る方が早いと人々は思う。海千山千の儲け話の方が面白いからだ。

しかし、世間で出回っている怪しい儲け話の多くは、本当にそれで儲かるのかどうか分からない珍妙なものが多く、普通の人にとって役に立たない。有害ですらある。

結局、地道にコツコツ貯めるという基本ができていないと、振り回されるだけで終わって何も残らない。

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貯められないから、うさん臭い話に乗ってしまう

そもそも、いくら稼いでも貯金できなければ意味がない。稼ぐだけ使っていたら、資産というべき資産が貯まらない。

稼ぐ額は多ければ多いほどいいのは当然かもしれないが、それを上回る浪費をしていれば、借金の方が膨れ上がり、逆に破綻する確率の方が高くなる。

宝くじで巨額の当たりを出しても、親の遺産が転がり込んでも、浪費体質の人はすべてそれを浪費してしまうので、時間が経てば資産ゼロに戻る。

浪費型の人が巨額の金を稼ぐと、それを元手に巨額の借入を行って無謀なビジネスに邁進したり、無駄な物を爆買いしたりするので、逆に巨額の負債を抱えることにもなる。

巨額の稼ぎがあって、なおかつ倹約型であるのが理想だ。しかし、稼ぎは少なくとも着実に貯金できる体質を持っている人は、気が付けば資産が貯まっている。悲観することはない。

別に絶対に金を使うなと言っているのではない。必要なものや、ちょっとした楽しみに金を使うのは人生を豊かにするためにも大切なことだ。

知的なものに金を使うのは自分への投資でもあると言える。そういったものは削るべきではない。本当に欲しいもの、本当に自分がやりたいことは誰にでもある。いざというときに、そういったものに金を使うというのが、本当の生きた金の使い方だ。

しかし、明らかに無駄なものや、必要なのかどうか分からないようなものは山ほどある。あるいは、収入よりも金のかかる趣味も中にはある。見栄のために存在するようなものもある。

消費欲に任せて、そんなものを次から次へと買うことが無駄なのだ。「貯める」というのは、そういった無駄な出費をなくすことから始まる。

しかし、多くの人は常識としてそれが分かっていても、欲望を抑えることができない。無駄な出費がかさむから貯められず、貯められないからうさん臭い話に乗ったり、ギャンブルに手を出したりする。

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基本ができないような社会の仕組みになっている

実は現代は、他のどの時代よりも「地道に貯金する」という当たり前が難しい時代になっている。その基本ができないような社会の仕組みができあがっている。中には、コツコツ貯金するという基本ができないように人々を阻害しているものもある。

そのひとつが、コマーシャルである。

すべてのメディアは、朝から晩まで人々をコマーシャル漬けにして、疲れ果てるまで「あれを買え、これを買え」と人々を追い立てていく。

ありとあらゆる空間をコマーシャルで埋め尽くし、現代人はもはやコマーシャルを見ないで生きるのは不可能な時代となっている。テレビはおろかインターネットでもコマーシャル漬けだ。街に出ても、至るところにコマーシャルがある。

現代社会のゆがみがここにある。「貯金する。無駄金は使わない」というのは資産を作るための基本なのだが、マスコミの広告主は企業なので、人々には絶対に「金を使わせたい」と思っている。

だからコマーシャルで執拗に洗脳し、消費欲を煽り立て、無駄金を使うことが素晴らしいことであると人々に思わせる。そして、人々は「地道に貯金する」という当たり前からどんどん外れていき、給料をもらった瞬間にコマーシャルに煽り立てられるように消費していく。

消費することが素晴らしいことであり、消費しないで貯金することは、つまらなく、退屈で、辛気くさく、面白味がないことであると洗脳する。

洗脳されたことすらも気付かず、人々は消費に動く。下らないコマーシャルなど毎日見ていたら、私たちは基本を見失って人生を誤る。無駄な消費が煽り立てられて大歓迎される社会で生き残るのは、皮肉なことだが無駄な消費をしないことなのである。

いったん消費地獄から逃れ、静かに基本に戻っていくのは悪い話ではない。「地道に貯金する」という当たり前に戻る。それはシンプルだが、効果絶大だ。

しかし人々はどんどん余裕を失い、貯金ができる人が少なくなっている。そして、無駄なものに金を使い、必要なものに金が使えなくなってしまう。

邪悪な世界の落とし穴
『邪悪な世界の落とし穴 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナにおちる(鈴木 傾城)』

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