1990年代後半、カンボジアのバッタンバン州に行っていた頃に言われたのは、「絶対に道ではないところを歩くな」ということだった。
「地雷がある」
バッタンバン州では2000年を過ぎても、戦争で破壊された戦車の残骸が道ばたに転がっているような国だったから、草むらを分け入ったら本当に地雷が爆発する可能性があった。
真っ赤な背景に骸骨の絵が描かれた”Danger!! Mines!”の看板もあった。
ポルポト派がパイリン州の奥深いジャングルに潜んでいるのが分かっているのに、カンボジア政府軍が掃討に行かなかったのは、パイリン州一面に地雷が敷き詰められていたからでもある。
ポルポト派がジャングルに隠れてから十年も経つと、土砂崩れや豪雨などによって地形が変わり、地雷を埋めたポルポト派でさえも、どこに地雷があるのか分からないほどになった。