インドでは6億人が絶対貧困の状態にあり、スラムか、スラムに類するような場所で暮らす。家の中にはトイレはない。
首都ニューデリーですら、トイレのない家が山ほどあり、彼らは朝になると線路脇にしゃがみこんで排泄を行う。だから、ムンバイでも鉄道脇のスラムを歩いていると糞尿のニオイがずっと漂っていたりする。
これは、ムンバイでも、コルカタでも変わらない。コルカタのスラムでは鉄道が近くにないときは川沿いがそれに取って代わっていた。川沿いの土手が自然トイレと化していて、豚がそこに放し飼いされていたりする。
その糞尿の土手の向こう岸では濁った水で誰かが川に浸かって沐浴している。インドは今でもそのような国なのだ。
家の中にテレビがあっても、冷蔵庫があっても、トイレがないことは珍しくない。
こういった現状に嫌気がさしてトイレを個人で設置しようとしても水洗トイレは難しい。なぜなら、インドでは下水設備がないことの方が多いからだ。大都市ムンバイでさえもそうだ。