「悪い人間が報いを受けるのは当然のことだ。悪い人間がのうのうと生きているのは許されない。悪い人間は、痛い思いをすべきなのだ……」
多くの人間の深層には、そういった勧善懲悪の心理が潜んでいる。だから、現実でもフィクションでも、悪人が懲らしめられる場面で、人々は大きな「快感」を覚えることになる。
悪い人間が罰を受ける姿を見るのは、「快感」であるというのは誰も口にしないが事実である。
悪人が懲らしめられる姿が見られるのであれば、人々は金を払ってでもそれを見る。それが「見たい」のである。
映画は絶対に悪人が最後に勝つことは許されない。そんな決まりはないのだから、ハリウッドは何でも好きに作ってもいいはずなのだが、そんなものは作らない。
誰もそんなものを求めていない。ワンパターンだと言われようが何だろうが、「悪人がめちゃくちゃにされて殺される」というのを人々は求めているのである。