人はあまり意識していないのだが、私たちは2つのまったく違う異世界を同時並行で生きている。それが「昼間の世界」と「夜の世界」である。
この2つの世界は、それぞれが180度ひっくり返ってできている。昼が明るいが、夜は暗い。昼は活動すべき時だが、夜は休息すべき時だ。昼は真面目である時だが、夜は享楽的である時だ。
そのため、昼間の世界だけで生きている人と夜の世界で生きている人は、「生きている世界」が違うと人々は知っており、そして割り切っている。
「昼間の女」と「夜の女」は生き方がまるっきり別であっても何ら不思議ではなく、むしろ当然のことでもある。昼の常識がそっくり裏返って夜の女ができている。
昼間の女は貞淑さを求められるが、夜の女は淫乱さを求められる。昼間の女はしっかりした態度でどんな誘惑でも跳ね返す潔癖さが求められるが、夜の女はだらしなくて誘惑に弱くて触れれば落ちるような態度が求められる。
そして「嘘つきな女を許せない」と思う男は、夜の世界では生きていけない。なぜなら、夜の世界では、一から十まですべてが嘘で塗り固められているからだ。
正直な女もいる。しかし、正直な女は夜の世界では絶対に長続きしない。夜の女は自分を守るためにも、自分を高く見せるためにも、そして「ある理由」でも、自然と嘘をつかなければならない状況に落ちていくのだ。
「ある理由」とは何か。それは「男が嘘を求めている」というものだ。正直は美徳だというが、それは「昼間の世界」の話である。ほとんどの男は、夜の女に対して「嘘をつくことを強要している」のだ。
驚くかもしれないが、これは本当の話だ。夜の世界では、男は嘘をつけない女を前にすると激怒する。
「真夜中の世界」では常識がひっくり返っていて、うまく嘘のつける女が素晴らしい女になる。それを意識的にも無意識にも理解している男だけが、夜の女を愛することができる。
どういうことか分かるだろうか?