民族浄化の嵐が吹きすさぶ。習近平のチャイナ・ドリームは実現するだろうか?

民族浄化の嵐が吹きすさぶ。習近平のチャイナ・ドリームは実現するだろうか?

「習近平は皇帝になろうとしている」「それも世界を支配する皇帝になろうと本気で動いている」と推測する分析者は多い。習近平は用意周到に自分に敵対する人間を葬り去って来たし、しきりに個人崇拝路線を仕掛けている。習近平は毛沢東を模倣しながら、毛沢東以上の存在になろうとしている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

中国語教育の強化

中国はチベットを弾圧し、ウイグルを弾圧し、香港を弾圧しているのだが、今度は内モンゴル自治区を標的にしようとしている。「内モンゴル自治区」は中国が支配している自治区なのだが、ここで何が起きているのか。

2020年8月26日から中国は突如として「民族の交流と融和を進める」とか言い出して、小学校1年と中学1年の新学期直前に中国語教育を強化することを通知した。モンゴル語ではなく、中国語を主体にして教育を進めていくというのだ。

これを聞いてモンゴル族の保護者や教員は「モンゴル文化を抹殺するつもりだ」「民族文化の危機だ」と反発して一気に抗議活動や授業ボイコットが起きた。この抗議デモは数万人の規模となって中国共産党政府を圧倒した。

モンゴル人がこの「中国語教育の強化」に大きな警戒心と不快感を持ったのは当然のことだった。

・2017年にはウイグルで中国語教育の強化。
・2018年にはチベットで中国語教育の強化。

が行われていたのだが、内モンゴル自治区の「中国語教育の強化」はウイグル・チベットに続くものだったのである。ウイグル・チベットがどうなっているのかは、全世界の人々が知る事態となっている。

そこで行われているのは、文化抹殺・民族浄化である。反対する者は「教育施設」という名の強制収容所にぶち込んで人間性を破壊し、有無を言わせない暴力で文化を破壊し、抹殺し、中国化していく。

習近平は、いよいよ内モンゴル自治区も完全中国化しようと動き出した。突如として通知された「中国語教育の強化」は、まさにその号令でもあったのだ。

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習近平の「中国化」政策の一環

小学校から中国語で教育を行うというのは、要するにモンゴル語を教えないということでもある。学校で自分たちが使っている文字や言葉が奪われて、自分たちのものではない「中国語」で学ばされ、教育を受けさせられることになる。

自分たちのアイデンティティであるモンゴル語を読んだり書いたりする機会が喪失していき、次第に読み書きが困難になっていく。

この教育が10年続くと、それだけでモンゴル語は抹殺され、内モンゴル自治区の人間は漢字しか読めない人間になってしまう。そして、失われるのは文字だけではない。民族としてのアイデンティティすらも失われる。

モンゴル人が激怒するのも当然である。

しかし、それにしても中国はなぜチベットやウイグルでこれほどまで世界各国から「人権侵害だ」と叩かれている「今」、内モンゴル自治区で同じことをしてわざわざ世界を刺激しようとしているのだろうか。

それは習近平の「中国化」政策の一環だからである。

習近平はひたすら膨張主義を取っている。世界の覇権を握り、全世界を「中国化」する野望を抱いている。

チベット・ウイグル・香港を強引に「中国化」するだけでなく、南沙諸島に出てベトナムやフィリピンやインドネシアをも睨み、一帯一路政策でアフリカから南太平洋の国々までを負債で支配して経済的植民地にして「中国化」する。

先進国には砂をまくように大量の中国人を送り込み、移民させて、内部から徐々に中国化していこうともしている。(ダークネス:毛沢東の戦略。砂をまくように中国人を日本にまいて侵略し、属国化させる

習近平は本気だ。暴力と策略で全世界を「中国のもの」にしようと画策している。これは習近平の「チャイナ・ドリーム」なのである。このチャイナ・ドリームが、全世界にとって「悪夢」と化している。

内モンゴル自治区も、いよいよ標的になった。

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「中国のトランプ」を逮捕した習近平

習近平は世界の覇者となって何をしようとしているのか。「習近平は皇帝になろうとしている」「それも世界を支配する皇帝になろうと本気で動いている」と推測する分析者は多い。

習近平は用意周到に自分に敵対する人間を葬り去って来たし、しきりに個人崇拝路線を仕掛けている。それは毛沢東がやった路線でもある。習近平は毛沢東を模倣しながら、毛沢東以上の存在になろうとしている。

習近平は中国が未だかつて持ったことのない絶対権力を世界に行使して、自分が「世界を支配する皇帝」になろうと画策している。だからこそ先を急ぎ、強引な手法で全世界を混乱に陥れている。

最近、習近平は任志強(レン・ジチャン)という反骨の資産家を「汚職罪」「収賄罪」「横領罪」「職権乱用」で逮捕して懲役18年を言い渡している。この任志強という資産家は何者だったのか。

任志強(レン・ジチャン)は、コロナウイルスの危機対応で習近平を激しく批判している人間のひとりだった。毛沢東らと共産革命に参加した長老らの子弟を「紅二代」と呼ぶのだが、任志強も「紅二代」のひとりだった。

言って見れば、中国の世襲の権力者のひとりである。任志強はそうした親の権力の庇護もあって物怖じせず習近平を批判しており、「中国のトランプ」とも言われていた。

しかし、習近平は許さなかった。紅二代を逮捕して懲役18年を言い渡した。

これは、習近平がもはや紅二代であっても自分を批判する人間は容赦しないということを内外に知らしめた事件だった。こうした事件を見ても、習近平が「皇帝になろうと本気で動いている」ことが分かるはずだ。

自分が皇帝になるためには、中国に刃向かってくる可能性のある存在はすべて叩きつぶしておかなければならない。中国を分裂させる危険性があるのは、チベットであり、ウイグルであり、香港であり、内モンゴル自治区である。

だから、習近平は自らの野望のために、これらのエリアを完全支配に置こうと動いている。そうした文脈の中で、「中国語教育の強化」という民族浄化の一手が内モンゴル自治区に仕掛けられたのである。

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全世界で全方位で侵略が進んでいる

今、中国で起きているのはこのようなことである。「漢民族の支配=習近平による世界支配」が本気で進められていて、全世界で全方位で侵略が進んでいる。習近平は絶対支配者として君臨しようとしており、自分が生きている間にそれを実現しようと画策している。

だから、中国のやり方は強引であり、有無を言わせないものになっている。

本来、中国は100年計画・1000年計画で物事を進める国である。「砂をまくように全世界に中国人をまき散らし、徐々に徐々に外国を侵略していく戦略」は今も着々と進められている。

「武器としての移民政策」は着実に機能するのだが、この手法の欠点はやたらと時間がかかることだ。時間がかかっても侵略のために手を打つのが中国であり、それは静かに行われるものだ。

しかし、習近平はその手法を取りながら、非常に性急に侵略を進めようとしている。それが軋轢を生み出しているのだが止まらない。

中国が世界を支配し終わった時、「自分の次の世代」が世界を支配するのは習近平の望みではない。習近平は自分が皇帝になりたいのだ。だから何が何でも侵略を急がなければならないのだ。

フランスのマクロン大統領は、2020年9月20日に「中国におけるウイグル人への人権侵害を放置せず、国連主導で新疆ウイグル自治区に国際視察団を派遣べきだ」と述べて、国連に行動を促している。

今まで中国はこうした発言を聞いたら「内政干渉をするな」と恫喝してきたのだが、マクロン大統領は「基本的人権は国連の原則であり、内政干渉という言葉で反対することができるものではない」とも言っている。

アメリカも中国を激しく追い込んでおり、グローバル経済から中国を切り離そうとしている。

欧米が中国を見放し始めて「敵」と認識するようになると、世界を支配しようとする習近平と中国は「全人類の敵」となって世界に報復される。すでにアメリカは中国に照準を合わせている。

アメリカは戦争を恐れない国である。近いうちに私たちは戦争時代を経験するかもしれない。(マネーボイス:戦争こそアメリカの景気対策。軍産複合体は「中国」に的を絞った=鈴木傾城

習近平のチャイナ・ドリームは、実現するだろうか……。

『わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない(楊逸)』

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