コロナ以前の話だが、あるデリヘル嬢と話をしていた時、彼女は「夢は主婦になること」と私に言ったことがあった。
それを聞いて私はぎょっとしたのを覚えている。
彼女はすでに30代の半ばだった。金髪に近いような茶髪で派手派手のブランド服に身を包み、しゃべり方もタメ口調で、どう見ても「夜の女」でしかなかったからだ。しかも、かなりスレて崩れたタイプの風貌だ。
そんな女性が「家庭を持ったことがないから家庭を持ってみたい」「エプロンなんかつけちゃってさ、朝になったら行ってらっしゃいとか言ってみたい」「すぐにやめたけど婚活もしたことがある」みたいなことを言った。
「全然そんなタイプに見えないね」と私がタジタジになりながら言うと、彼女は「それが夢なのだ」と私に強調したのだった。もしかしたら、それは「叶わないこと」だから彼女は「夢」と言ったのかもしれない。
本気でそれが実現するとは彼女自身も思っていないようだった。
最近、コロナ禍でステイホームが習い性になっているのだが、これによって水商売の女たちや風俗の女たちが全然稼げなくなってしまって「パパ活」なるものに流れているという話は以前に書いた。
夜の歓楽街で稼げなくなった女たちの今の主戦場は街からアプリの中に移ったのである。「パパ活アプリ」は大盛況だ。(ブラックアジア:風俗で稼げなくなった海千山千の女たちの次の戦場は「パパ活アプリ」だった)
それと同時に、活発に動き出している「もうひとつの業界」もあるという。「パパ活」と共に、今になって動き出している業界。それは「婚活」業界だった。