フランスの18歳の少女が1954年にひとつの小説を発表した。その小説は『悲しみよこんにちは』というしゃれた題名が付けられていた。
小説の主人公は17歳の少女なのだが、自分の父親が愛人を連れてコートダジュールの別荘で避暑を過ごすうちに、この父親が別の女性に惹かれていくという話だ。
長いフランス人のバカンス。別荘。父親の愛人。自分自身の奔放な性。殺人計画……。
18歳にして、この大人の世界の愛憎劇を物語にできる才能に世界は驚いた。そして、フランスらしいアンニュイを表現した物語はベストセラーとなっていった。
私自身はこの小説のあらすじを見ただけで、あまりにも自分と世界観が違うと感じて読むこともなかった。そして、ジーン・セバーグによって映画化された同名の映画も観なかった。
いろんなことが落ち着いたので、今日、私はやっとこの1957年の古い映画を観た。私をこの映画に導いたのは、現在アメリカで起きている黒人の暴力抗議デモである。