表社会の人々は「風俗と売春は何が違うのか?」と言われたとき、その違いがよく分からないのかもしれない。なぜなら、どちらも女性が裸になってセックスするのだから似たようなものに思えるからだ。
しかし、私は「風俗」と「売春」は似ているようで違うものであるとずっと感じていた。実はこれについて、日本の風俗嬢と話をしたとき、彼女たちがふと漏らす社会の違和感でも感じることがある。
「私、風俗で働いているのが親にバレて売春婦と怒られたのね」
ひとりの風俗嬢が私に言ったことがある。その時、彼女は自分が「売春婦」と言われたことに驚いて「私は売春婦じゃない」と答えたら「そんなところで働いているのだから売春婦だ」と激しく罵られたという。彼女は私に言った。
「風俗嬢と売春婦は違うよね」
私が同意すると、彼女は「やっぱり何と言うのかな、全然違うよね」と、賛同した私に言うのだった。
彼女は、売春婦と風俗嬢の「違い」をうまく説明できなかったが、言い方が違うというのではなく、何か「立場が違う」というようなニュアンスで捉えていた。
そして、彼女は「風俗嬢と言われるのが抵抗はないけど売春婦と言われるのはものすごく抵抗がある」と私に言った。自分は風俗嬢であっても、売春婦ではないというのが彼女のスタンスだったのだ。
風俗嬢と売春婦は、いったい何が違うのだろうか。