中国発コロナウイルスが蔓延し、緊急事態宣言が発令された2020年4月から5月にかけて風俗の世界は客足がばったりと途絶え、客がつかずに辞めた風俗嬢が何人もいる。今も風俗は客足が戻っておらず厳しい状況だ。
しかし状況が落ち着けば、辞めたはずの女たちも何食わぬ顔で戻ってくるはずだ。
今まで「もう真夜中の世界は懲り懲りだ」と言って去ったはずなのに、再びセックス産業の世界に戻ってきた女性は何人も知っている。セックス産業にどっぷりと浸って生きてきた女性は、そこから去っても再びその世界に戻ってくることが多い。
特にセックス産業で稼げていた女性は、セックス産業から抜け出せない。
デリヘルの経営をしている女性店長と話をしていたときも、そんな話になった。一度「卒業」した女性が、半年から一年も経つと「また雇って下さい」と言って戻ってくるというのである。
そう言えば、私が話を聞いた30代を過ぎた風俗嬢も、10代の頃は援助交際をしていたという女性が多かった。家庭を持ち、子供ができても、彼女たちは夫に内緒で身体を売る世界に戻ってくる。
50代や60代になっても、セックス産業に身を置く「熟女系」の女性もいる。彼女たちはずっとそこにいたのではなくて、セックス産業を辞めて去っていき、再び戻って来たりしてそこにいる。
過去から逃れられない。身体を酷使して稼ぐ世界にうんざりして去っていっても、また危険で刹那的で愛の欠片もない殺伐とした世界に戻ってきてしまう。たとえ、それがトラウマであっても、ある種の女はそこに戻る。