「死に急ぐ」という言葉がある。私たちは普通、破滅しないようにきちんと自分をコントロールしながら日々を生きているが、世の中にはそうではない人がいる。
「死に急いでいた」としか言いようのない、破滅志向の人生を送る人がいるのである。
東南アジアの売春地帯にどっぷり浸っていたとき、私の目の前にはドラッグもアルコールもあれば、悪い女たちもいて、破滅志向としか言いようのない男たちの存在もあった。
いつか自分もドラッグ中毒になったり、エイズになったり、誰かに殺されたりして、短い人生で終わるのかもしれないと思うと憂鬱になったものだった。
そんな中、普通の人生に戻ろうとして失敗し、封印していた旅と売春地帯の沈没を再び開始していた最中、「サバンナ」というポルノ女優が死んだというニュースをニューヨークにいるときに知った。
アメリカではそれなりに大きなニュースだったと思う。私は彼女が誰だったのかまったく知らなかったが、タブロイド紙を読んで彼女が典型的な破滅型の人生を送っていたのを知って親近感を覚えた。
彼女もまた、典型的な「死に急いでいた」人だった。