◆「中絶は絶対に認められない」という考え方は、ただ女性を苦しめるだけ

◆「中絶は絶対に認められない」という考え方は、ただ女性を苦しめるだけ

「性的暴行などの犯罪被害にあった場合でも中絶は認められない」「中絶を行った医師に99年の禁錮刑を科す」

2019年5月15日、アメリカのアラバマ州ではこのような法律が成立した。これは事実上「すべての中絶を禁止する」というものである。そしてその2日後、今度はミズーリ州で「妊娠8週目以降の人工妊娠中絶を禁止し、中絶手術を行った医師には最大で15年の禁錮刑を科す」という法案が可決された。

アメリカでは、大統領選挙が近づくたびに、しばしばこの「人工妊娠中絶」の是非を巡って大荒れになる。

「予期せぬ妊娠」をした女性が、諸般の事情で子供を堕ろすのは認めるべきか禁止すべきか。これについては、当事者である女性も「それは女性の権利であり認めるべき」という意見と「胎児も人間だから生命を守るべき」と真っ向から意見が割れる。

妊娠した経緯、女性の年齢、女性の生活状況や経済問題、男性側の立場や言動、赤ん坊の遺伝的疾患、女性が生きている場所や社会情勢、信仰する宗教等々で、認めるかどうかの判断は分かれてくる。

この問題に意見を持つのは簡単ではない。基本的に胎児の命は守る方向であっても、個々の中絶にはケース・バイ・ケースで判断する柔軟性は欲しい。予期せぬ妊娠をした女性の置かれている立場は決して同一ではないからだ。

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