私たちはテレビや新聞の報道番組を見ると、それがリアルであると思ってしまう。しかし、それは間違っている。日本の報道番組は報道になっていない。
日本社会は、注意深く「死と暴力」が隠されている。
テレビや新聞でも、プライバシーだとかトラウマ軽減だとか様々な理由を盾にして、暴力や死体は注意深く、執拗なまでの潔癖さで隠されている。つまり、リアルが隠されている。
日本人が見ているのは「現実」ではない。
マスコミは「生々しい映像」と喧伝して映像を流しているが、それは編集されて「見たくないもの」が取り除かれている。本当に日本人がリアルに知らなければならない凄惨な「暴力の現場」がない。
人々が半狂乱になっている現場や、大怪我をしてのたうちまわっている人たちや、家族を失って怒り心頭に震えている人たちさえも出てこない。
憎悪を剥き出しにしている人や、互いに殺し合っている現場や、血まみれの暴力や死体が転がる戦場も出てこない。日本の報道番組は報道になっていない。