2017年8月10日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は国家非常事態宣言を出している。戦争の話ではない。鎮痛剤の話である。
アメリカでは近年、鎮痛剤の一種である「オピオイド」による乱用と死者が増大しており、これが社会問題化している。
2015年には3万3000人以上がオピオイドの過剰摂取で死亡、1999年から2014年の長期で見ると、死者は約16万5000人になっている。
現在のオピオイド依存者は、薬物乱用・精神衛生管理庁によると1150万人ではないかと推定値を出している。これが推定になるのは、オピオイドの密売や闇ルートの売買が蔓延していて、実態がよくつかめないからである。
「オピオイド・クライシスは国家非常事態だ」
トランプ大統領はこのように述べて、この対策については「政府は多くの時間、努力、資金を投入する」と約束した。
しかし、この問題は通常のドラッグ規制と違って、複雑な問題を引き起こす可能性が指摘されている。何が問題なのか。それは、オピオイドが「鎮痛剤」だという問題だ。