サミュエル・スマイルズの著書『自助論』には、冒頭にこのような言葉が書かれている。
『外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づける。人のために良かれと思って援助の手を差し伸べても、相手はかえって自立の気持ちを失い、その必要性も忘れるだろう。保護や抑制も度が過ぎると、役に立たない無力な人間を生み出すのがオチである』
外部からの援助が人間を弱くするというのは、現代社会でもよく見られる現象だ。
たとえば、難民キャンプで支援漬けにされた難民たちの中には、結局は支援を受け続けることに慣れてしまい、自立を忘れて援助にすがって生きるしかなくなってしまう現象が見られる。
支援は「自立するまでの一時的な措置」であるにも関わらず、あまりにも援助が続くと自立する気持ちがなくなって、無力になってしまう。
先進国では生活保護という仕組みがあって、一時的に生活に支障をきたしてしまった人たちがそれを利用する。それは、生活に問題を抱えてしまった人たちを救う重要なセーフティーネットである。(鈴木傾城)