
映画『チャイルド・ブライド』を観た。これは、アメリカにおける児童婚の現実を題材とした作品である。娯楽作品ではなく、社会告発的な性格を持つドキュメンタリーである。
驚いたことに、現代のアメリカでも「児童婚」はある。この映画はそれが現在進行形で米国内に存在している事実を観客に突きつける。スクリーンに映し出されるのは、結婚を強制された少女たちの声と、その背後にある制度のゆがみだった。
登場するのは、実際に結婚を強いられた少女や、かつてその立場に置かれた女性たちだった。
彼女たちは18歳未満で、法的には未成年であるため自分の意思で離婚や契約解除を選ぶ権利を持たない。結婚するとき、少女の意志は問われない。親が届け出を出したら、それで結婚が決まってしまうのだ。
映画では11歳で結婚した女性も登場する。11歳で結婚というのも驚くが、彼女が妊娠させられたのは9歳で、出産したのは10歳だった。相手の男は聖職者だった。彼は逮捕されたのか。いや、されていない。
逮捕どころが、彼女は自分をレイプした男と11歳で結婚させられた。この驚くべき状況が映画全体を通して描かれる。
『チャイルド・ブライド』が重視するのは、統計や制度の説明だけではない。少女たちが実際に体験した現実の語りを中心に据えている点にある。ある女性は家庭の圧力で結婚を強いられ、学校に通う権利を失い、友人関係や学びの場を奪われている。
ある女性は家庭で居場所を失い、未成年なのに結婚を強制され、夫からの暴力や支配にさらされても逃げ場がなく、警察や裁判所に助けを求めることすらできなかった。映画はその証言を淡々と重ね、観客に否応なく「児童婚」の事実を直視させる。
これが未開の国家ではなく、「自由と人権の国」と自称してきたアメリカで起きていた出来事であるのが驚きでもある。アメリカでも、毎年数千件規模で未成年の結婚が成立してきたのだ。



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