かつて東南アジアを旅した際、国ごとに女性の外見や振る舞いに明確な違いがあったことを覚えている。タイ女性と一緒にいたのが一番長かったので、基本的には私の美的感覚はタイ女性の容姿を好むようにできている。……はずだった。
最近は、タイ女性を見ても、かつて自分が愛した女性たちとはまったく雰囲気が違っていて、もう郷愁すらも感じなくなっている。洗練され、美しくなり、肌も白くなった。
隣のカンボジア女性は素朴さや控えめな感じが好きだったが、それも過去の話だ。インドネシア女性は多民族国家らしい多彩さと柔らかな社交性を備えていたが、気づいたら東アジアの女性と変わらなくなっているようにも見える。
もちろん、これは一般論であって、現地で女性たちを実際に見たらまた違った感じがするのかもしれないが、もう女性たちがかつてほどの郷愁を感じない雰囲気になっているのは間違いない。
時代が変わった。その土地の伝統や社会的背景が薄れている。地域固有の差異が急速に縮まり「どこの国の女性も似たような雰囲気」になった。
言うまでもなく、背景にはインターネットの影響があるのだろう。SNSや動画配信サービスの普及によって、流行や美意識は国境を越えて瞬時に広まるようになった。
タイの若者も、カンボジアの若者も、インドネシアの若者も同じ韓国アイドルや欧米のインフルエンサーに憧れ、同じような化粧品を使い、同じファストファッションを身にまとう。
経済発展も大きな要因でもある。中間層が拡大したことで、都市部の女性たちは容易に世界的ブランドにアクセスできるようになった。結果として「垢抜ける」ことは容易になった。
しかし皮肉なことに、その洗練は同時に均質化をもたらした。髪型やメイク、服装が同じ方向に収斂することで、かつての「その国が持っていた独特の美的感覚」が失われてしまった。
そういうのを残念に思っていたのだが、そういう気持ちになるとバングラデシュの女性を見る。彼女たちは頑固に昔と変わらないので、そこにほっとする。もっとも、バングラデシュの女性も変わってきている。変わっていないが、徐々に変わりつつある。



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